五輪団体金の「エペジーーン」らも登場!フェンシング全日本選手権が六本木ヒルズアリーナで開催
フェンシングの全日本選手権が11月6日、六本木ヒルズアリーナで開催された。国内大会では初の屋外会場を使って開催された大会では、男女全6種目の日本王者をめぐるレベルの高い戦いが繰り広げられ、フェンシング協会会長の武井壮さんも「お客さんの楽しんでいる姿が見られてとてもうれしい」と、2年ぶりの有観客開催に手応えを感じている様子だった。ここでは、昼と夜の2部にわたって開催された大会の昼の部の様子をレポートする。
佐藤佑平
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2021/11/07
男子サーブル決勝 吉田健人選手 15 対 14 徳南堅太選手
プレゼンターは、 公益社団法人日本フェンシング協会の理事に就任した皆川賢太郎氏が務めた。
第1試合の男子サーブル決勝は、徳南堅太選手(デロイトトーマツコンサルティング)と吉田健人選手(警視庁)が対戦した。序盤は徳南選手がリードする展開で試合は進んだが、12対14と追い込まれた吉田選手が3連続ポイントの猛反撃を見せ、大逆転勝利。初の優勝を手にした。
ーー試合を振り返っていかがでしょうか?
徳南:一本勝負で敗退し、悔しい結果に終わったが、2年ぶりの有観客試合ということもあり、会場の盛り上がりをかなり意識しながら戦えた。
(14−14)で迎えた最後の1本は、相手が前に出てくると予想し、ジャンプをしたが出てこなかった。やられてしまう形になり残念でした。男子サーブルは、この日の1試合目だったので、ハラハラドキドキの展開で、面白い試合ができた。その点では清々しさがあります。
ーーこれまでにはない屋外での試合でしたが、気になることはありましたか?
徳南:屋外で過去に試合をしたことがないので、天候に不安を感じていた。相手も同じシチュエーションなので、「ピストに立った雰囲気を味方につけよう」という思いで大会に臨みました。
ーー武井壮会長が、さまざまな情報発信を行なっています。徳南選手はどのように捉えていますか?
徳南:武井壮会長が就任してから、魅力会長自ら発信しているので、僕ら選手も負けないように動いていかないといけないと感じています。フェンシングは、まだマイナー競技だと思っている。プレーやS N Sの発信を通じて、皆さんに魅力を感じてもらえたら嬉しいです。徐々にそれらが浸透すれば、結果としてフェンシングが愛されていくと思っている。
(この日の試合で)フェンシング盛り上げ役としての任務は果たせたと思っているが、これからも還元していきたい。 選手としての練習やトレーニングだけではなく、フェンシングの裾野を広げる活動をしながら、活動していきたいです。
ーー全日本選手権を「集大成にする」とお話しされていましたが、今後についてはどのように考えていらっしゃいますか?
徳南:フェンシングの日本代表は、幅広い世代の選手がいて、円滑なコミュニケーションが取れているのので、前に進んでいけていると思っている。 僕は、「最後にする」と断言している訳ではないが、アスリートとして取り組むのは最後の大会になるかもしれない。
リオ五輪で敗退した時には、「東京を目指す」とすぐに気持ちを切り替えられたが、東京五輪を終えた今、「やり切った感覚」がある。東京五輪後に行われる全日本選手権が「一区切りになるだろう」と考えていました。勝ち切りたかったですが、僕が15歳で始めたフェンシングの集大成。結果は2位でしたが、力は出し切れたと思います。
ーー初の全日本選手権王者に輝きましたが、試合を振り返っていかがでしょうか?
吉田:今日の試合は、前半は負けていましたが、試合の途中から冷静に試合を進め、逆転することができた。東京五輪出場したメンバーの中で、自分だけが全日本選手権で優勝できていなかった。
毎回あと一歩で勝てない年が続き、悔しさや難しさを感じていましたが、今回の優勝が大きな自信になりました。嬉しい気持ちでいっぱいです。 折り返しまでは、流れの悪い試合運びだった。これまでは、ネガティブな方向にズルズルと進んでいったが、今回は試合中に組み立て直すことができ、壁を破れたと思う。
東京五輪では、エペが金メダルを獲得ましたが、まだサーブルでは五輪のメダルが取れていません。パリ五輪では、日本初のメダルを獲得できるように選手一丸となって頑張っていきたい。
女子エペは、東京五輪代表の佐藤希望選手(大垣共立銀行)と原田紗希選手(慶大)が対戦。佐藤選手が、15対8で勝利を収め、2年連続7度目の優勝を飾った。
――試合を振り返っていかがでしたか?
原田:前半は自分の得意な形で点数を取れたが、そこから連続失点が続き、(佐藤選手に)流れを持っていかれた。まだ技が少なく、戦いの幅が狭いという課題を感じており、今日の試合でも感じることがあった。克服していきたい。 佐藤選手は、試合の中でチャレンジをする場面でのミスもあったと思うが、効果的に「決めにいく技」の強さを感じた。
男子チームが金メダルを獲得し、「エペでも世界で勝てる」というところを示してくれて、可能性や希望を感じたが、一方でそこまでの道のりは長いとも思っている。
今回のように屋外で試合をする機会は少ないですが、一般のお客にも見ていただけるなかで、試合が出来るのは良いと思う。これからはフェンシングをやったことがある方だけではなく、これまでは「あまりフェンシングに興味がなかった」という方にも見ていただけたら嬉しいです。
――2年連続優勝を達成されましたが、試合を振り返っていかがでしたか?
佐藤:最初は思うように身体が動きませんでした。原田選手にリードされていた1セット目では、「何でやられているか?」を考え、第2セットに挑みました。これがその後の逆転に繋がったと思っています。
相手の剣を触ったり、置く位置を意識して変えたことが、逆転できた要因。私が7回目の優勝を手にすることになったが、これは下の世代が育っていないということでもある。そろそろ私に勝つ選手が出てきてほしいと思っているので、若手選手には頑張ってほしいです。
――「若手が育っていない」とお話しされていました。原因はどのあたりにあるのでしょう?
佐藤:エペに関しては、日本人の指導者が少なく、教えてもらえることが少ないこと。そして色々なことを言ってもらえる環境が少ないことが、その背景にはあると思う。私もプレーしながら気づいたことは、選手に伝えていますが、そろそろ次の世代が育ってくれたら嬉しいです。
(次男は)生で優勝するところを見るのが初めて。「子供に優勝する所を見せる」とい言い、手を振って別れた。優勝しないと「子供に示しがつかない」という思いで戦っていたという。
――今後の選手生活については、どのようにお考えですか?
佐藤:それこそ「パリ五輪まで」とはっきり言わないが、この試合が引退ではない。1年1年やっていくことが大切だと思っています。家族と体力考えながら決めていきたい。まだ即答はできないですね。
――東京五輪では、男子エペ団体チームが金メダルを獲得しましたね?
佐藤: 代表メンバーの4人は強いので、フランスに勝った時には優勝すると思いました。 エペは世界で一番選手層が厚く、勝つのが難しい種目。ですが、それでも男子が金メダルを獲得出来ることを男子が証明してくれた。女子でもできると思うので、そろそろ私を追い抜いていってほしいです。
毎回あと一歩で勝てない年が続き、悔しさや難しさを感じていましたが、今回の優勝が大きな自信になりました。嬉しい気持ちでいっぱいです。 折り返しまでは、流れの悪い試合運びだった。これまでは、ネガティブな方向にズルズルと進んでいったが、今回は試合中に組み立て直すことができ、壁を破れたと思う。
東京五輪では、エペが金メダルを獲得ましたが、まだサーブルでは五輪のメダルが取れていません。パリ五輪では、日本初のメダルを獲得できるように選手一丸となって頑張っていきたい。
女子エペ決勝 佐藤希望選手 15 対 8 原田紗希選手
女子エペは、東京五輪代表の佐藤希望選手(大垣共立銀行)と原田紗希選手(慶大)が対戦。佐藤選手が、15対8で勝利を収め、2年連続7度目の優勝を飾った。
――試合を振り返っていかがでしたか?
原田:前半は自分の得意な形で点数を取れたが、そこから連続失点が続き、(佐藤選手に)流れを持っていかれた。まだ技が少なく、戦いの幅が狭いという課題を感じており、今日の試合でも感じることがあった。克服していきたい。 佐藤選手は、試合の中でチャレンジをする場面でのミスもあったと思うが、効果的に「決めにいく技」の強さを感じた。
男子チームが金メダルを獲得し、「エペでも世界で勝てる」というところを示してくれて、可能性や希望を感じたが、一方でそこまでの道のりは長いとも思っている。
今回のように屋外で試合をする機会は少ないですが、一般のお客にも見ていただけるなかで、試合が出来るのは良いと思う。これからはフェンシングをやったことがある方だけではなく、これまでは「あまりフェンシングに興味がなかった」という方にも見ていただけたら嬉しいです。
――2年連続優勝を達成されましたが、試合を振り返っていかがでしたか?
佐藤:最初は思うように身体が動きませんでした。原田選手にリードされていた1セット目では、「何でやられているか?」を考え、第2セットに挑みました。これがその後の逆転に繋がったと思っています。
相手の剣を触ったり、置く位置を意識して変えたことが、逆転できた要因。私が7回目の優勝を手にすることになったが、これは下の世代が育っていないということでもある。そろそろ私に勝つ選手が出てきてほしいと思っているので、若手選手には頑張ってほしいです。
――「若手が育っていない」とお話しされていました。原因はどのあたりにあるのでしょう?
佐藤:エペに関しては、日本人の指導者が少なく、教えてもらえることが少ないこと。そして色々なことを言ってもらえる環境が少ないことが、その背景にはあると思う。私もプレーしながら気づいたことは、選手に伝えていますが、そろそろ次の世代が育ってくれたら嬉しいです。
(次男は)生で優勝するところを見るのが初めて。「子供に優勝する所を見せる」とい言い、手を振って別れた。優勝しないと「子供に示しがつかない」という思いで戦っていたという。
――今後の選手生活については、どのようにお考えですか?
佐藤:それこそ「パリ五輪まで」とはっきり言わないが、この試合が引退ではない。1年1年やっていくことが大切だと思っています。家族と体力考えながら決めていきたい。まだ即答はできないですね。
――東京五輪では、男子エペ団体チームが金メダルを獲得しましたね?
佐藤: 代表メンバーの4人は強いので、フランスに勝った時には優勝すると思いました。 エペは世界で一番選手層が厚く、勝つのが難しい種目。ですが、それでも男子が金メダルを獲得出来ることを男子が証明してくれた。女子でもできると思うので、そろそろ私を追い抜いていってほしいです。
男子フルーレ決勝 永野雄大選手 15 対 12 安部慶輝選手
男子フルーレ決勝では、東京五輪代表の永野雄大(ネクサス)が、安部慶輝(秋田緑ケ丘病院)を15−12で破り、2年ぶり2度目の優勝を飾った。
ーー試合を振り返った感想と、同じカードでの決勝戦を戦った2年前からの成長について
安部:(準優勝の結果は)満足している。右足を痛めていたので、攻めは諦めている部分もあった。永野選手はミスが少ないので、守りを誘ってポイントを取るつもりだったが、そこを崩されてしまった。
決勝で永野選手と対戦した2年前は、自分のやりたいことを押すスタイルだったので、相手に利用されてしまうことがあった。最近は立ち会いで相手を見ながら一気に攻めるなど、成長できたところもある。
「今年こそは負けない」という気持ちだったが、自分自身できることを精一杯やり、この日のために調整してきた。これからは、3年後のパリを目指して活動していく。シーズンも始まり、4月までは連戦が続くので、それまでは東京に拠点を置いて練習に励みながら、その後は秋田に戻る方向で考えています。
ーー試合を振り返っていかがでしょうか?
永野:決勝で負けた去年のリベンジをしたいと思っていたので、頑張ってよかったと思っています。東京五輪に準決勝から出場しましたが、補欠だった。これから新シーズンも始まるので。まずは上のレベルにいる選手と肩を並べられるようにしたいと思っています。パリ五輪では、きっと緊張する場面も出てくると思う。
1発勝負の全日本選手権は、それに近い場面なので、勝てて良かったですし、自分にとっても良い経験になりました。(パリ五輪には)エースとして活躍しないと出られないので、そこに取って代われるような選手にならないといけない。うまくいかない時とうまくいく時のムラが激しいのが自分の課題。今日の試合でも見つけたので、改善していきたい。
「エペジーーン」が流行語に!男子エペ団体金メダル表彰式
第一部では、「エペジーーン」が流行語にノミネートされた男子エペ団体チームの「金メダリスト表彰式」も開催された。
宇山:先日引退を表明し、別のステージに行くことにしましたが、五輪の夢を共有できて嬉しく思っている。これからもフェンシングや、スポーツの支援は続けていきたいです。
見延:試合をご覧いただきありがとうございます。皆様の応援のおかげで、金メダルが取れましたが、無観客…。金メダルを取る瞬間を、みなさんに見てもらいたかったです。これからも現役を続行するので、試合を見に来て応援してください。
加納:皆さんの応援のおかげで、団体では金メダルを取ることができました。僕は2部の最終戦に出場しますが、ぜひさまざまな方に試合を見てほしいです。
山田:お忙しいところありがとうございます 決勝では嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、次は皆さんの目の前で優勝して、「エペジーーン」させたいと思います。