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多くのサポーターと仲間が駆け付けた、涙と笑顔の特別な夜ーーフロンターレ一筋“中村憲剛”引退セレモニー【前編】

2020年、40歳で18年間の現役生活に終止符を打った中村憲剛選手。川崎フロンターレ一筋で地域密着、地元の人たちに愛され続ける中村選手の引退セレモニーには、多くのサポーターと仲間たちが駆け付けた。感動的な夜の様子を前後編で振り返る。前編は、中村選手に縁のある人たちから贈られた愛にあふれる言葉の数々をお届けする。※トップ画像出典/Getty Images

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コロナ禍にもかかわらず1万2千人ものサポーターが駆け付けた引退セレモニー

2020年12月21日、今シーズン限りで引退を表明した中村選手の引退セレモニーが行われた。“One four Kengo”と書かれた大きな横断幕が掲げられ、コロナ禍で入場制限がかかったにもかかわらず、1万2000人あまりのサポーターが駆け付けた。セレモニーの司会進行は中西哲生さんと小森すみ恵さん。さらに放送席からはDAZNのJリーグ中継でもおなじみの西岡明彦さんとリポーターの高木聖佳さんが、セレモニーの様子を伝えていく。

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来源/盖蒂图片社

18年間の現役生活のなかで、たくさんのサッカー選手とも交流があった中村選手。会場では、ゆかりのあるサッカー選手たちからのメッセージVTRが放映された。

2007年から3年間川崎フロンターレに所属し、日本代表ゴールキーパーでもあった川島永嗣選手は、どうしたらクラブが優勝できるか、日本サッカーをもっと強くできるのかということを、中村選手と語り合ったという。「“中村憲剛”という存在そのものがみんなの宝物」とメッセージを贈った。

“キングカズ”こと三浦知良選手も「今後は監督を目指すということで、選手のときと同じようにファンタスティックで、誰もが感動できるサッカーをめざしてほしい」とエールを贈る。その後もアンドレス・イニエスタ選手やジュニーニョなど豪華なメンバーから現役引退へ労いの言葉がかけられた。

プレーヤーとしての転機となったボランチへの挑戦

続いては、2004年から2009年まで川崎フロンターレの監督を務めた関塚隆さんが登壇。関塚さんは、中村選手の最初の印象について「猫背で華奢、1シーズンもつのか心配だった」と振り返る。しかし、技術・判断力など非常に光るものを持っていたと言う。当時、中村選手の特徴であるインサイドの強いパスを活かしたいと考えた関塚さんは、中村選手をボランチへコンバートした。このボランチへの挑戦は、現在の中村選手のプレースタイルの基盤となる出来事だった。中村選手はチームの中核となり、後の飛躍へと繋がっていく。関塚さんは「なかなか優勝ができず、シルバーコレクターと言われる時代もあった。でも彼が現役生活をしている間に星を付けてくれた。本当におめでとうという思いでいっぱいです。現役を退いたあとも、川崎市、川崎フロンターレ、そして日本のサッカーを進めてもらいたい」と期待を寄せ、最後には「本当に18年間お疲れ様でした」の言葉で締めくくった。

セレモニーに駆け付けた豪華なフロンターレOBから贈られたメッセージ

引退セレモニーには、多くの川崎フロンターレOBも駆け付け、代表で岡山一成さん、鄭 大世選手、大久保嘉人選手の3名がスピーチをした。

最初は、ルーキー時代の中村選手と一緒にプレーをした岡山さん。そのときから岡山さんは、中村選手が日本代表になると確信していたという。そしてこの先「中村憲剛は必ず日本代表監督になる」と断言し、「中村選手が川崎フロンターレの監督から、日本代表監督になる夢を一緒に追いかけましょう」と会場のサポーターに伝えた。

2016年から4年半、中村選手と苦楽をともにした鄭選手は「15年間追い続けて全く背中が見えなかった。逃げ切られてしまって悔しい」と語り、「一点の曇りもない、あっぱれな幕引き。“引退おめでとう”と伝えたい」という言葉を中村選手へ贈った。

OB代表最後のスピーチは、大久保選手。中村選手から引退を告げられたときは「とても寂しくて、心に穴が開いたようだった」と心境を振り返った。自分はあと少し現役を続けるつもりだと前置きし「自分が引退したら、海外サッカーを一緒に観に行きたい」と話した。公私ともに仲の良い、大久保選手らしいメッセージだった。

たくさんの人を勇気づけ運命をも変えた“中村憲剛”という大きな存在

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来源/盖蒂图片社

セレモニー会場である等々力スタジアムの照明が落とされると、洗足学園音楽大学の森タケルさんのトランペットによる“ケンゴチャント”が鳴り響く。サポーターが灯したライトでセレモニーの雰囲気が高まるなか、いよいよ中村選手が登壇。川崎フロンターレの監督および選手たちも壇上に上がり、選手を代表して小林悠選手からメッセージが贈られた。中村選手がいなければ今の自分はいないと語り「憲剛さんのプレーで助けられたり前向きになれたり、僕みたいに運命を変えてもらうほどの影響を受けた人もたくさんいたと思う。本当に大きな存在でした」と涙ながらに感謝を口にした。

コロナ禍にもかかわらず、全国各地から実にたくさんの人々が中村選手の門出を祝おうと等々力競技場に駆け付けた。贈られたあたたかい言葉の数々は、中村選手がいかに多くの人たちに愛されてきた選手であるかを証明している。

DAZN『【12.14引退試合】中村憲剛 引退セレモニー (特別再配信)』より

※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています