
“胜败皆为养分源泉”前RIZIN选手浅仓环奈的实力与新挑战
日本の女子総合格闘技を牽引してきた浅倉カンナ。数々の激闘の裏にあったのは、華々しい勝利だけではなく、悔しさや葛藤、そして自分自身と静かに向き合う時間だった。引退後の今、「好きな色」や「好きな言葉」から始まるインタビューは、格闘家としての強さだけでなく、一人の女性としての素顔を映し出す。幼少期の恥ずかしがり屋な自分、20歳で迎えたシンデレラストーリー、成長の停滞を感じた苦悩、そして「格闘技のない人生」を歩み始めた今の想いまで――。※トップ画像撮影/松川李香(ヒゲ企画)

「好き」を語る時間――色、言葉、そして大切な場所
──好きな色は?
1つ選ぶなら…黄色かな。明るい色が好きですし、夏も好きなので、自然と黄色が好きですね。
──好きな言葉は?
「経験」ですね。中学生の頃から仲のいい友達がいて、その子とよく「人生経験」って言ってたんです。良いことも悪いことも「全部、経験だよね」って乗り越えてきて、今でもその言葉をよく使います。
特に、何かうまくいかないときでも「これも経験」と思えば、乗り切れる気がしますね。
──私服のスタイルは?
どんな服を着るか…難しいですね(笑)。

──引退してから、服の好みは変わりましたか?
大きくは変わらないですけど、私服を着る機会が増えたので、多少は変わったかもしれません。現役の頃はジャージで1日過ごすことも普通にあったんですけど、今はそういうことがなくなりましたね。でも、スカートはあまり履かないかも。カジュアルなスタイルが好きです。
──次の質問で好きな国は?
日本!
──海外にはどのくらい行きましたか?
選手時代は国際大会や合宿でいろんな国に行きましたね。レスリングの大会で行ったのは、スウェーデン、モンゴル、アゼルバイジャン。練習ではアメリカにも行きました。
どの国も良かったですが、やっぱり日本が一番落ち着きますね。環境もいいし、何よりみんながいる日本が好きです。
恥ずかしがり屋だった私が、マットの上に立つまで
──幼い頃って、どんな子供でしたか?
めちゃくちゃ人見知りで、恥ずかしがり屋でした。
人前に出るなんて絶対無理で、誰かに話しかけるのも苦手なタイプでしたね。
──そんな性格なのに、レスリングを始めたんですか?
はい。でも、レスリングをやるようになって、友達もできて、少しずつ変わっていきました。
ただ、最初の頃は「みんなが見ているマットの上で試合をする」なんて、信じられなかったです(笑)。
──今振り返ると、内気な自分が不思議ですか?
そうですね。「なんでそんなに人見知りだったんだろう?」って思うこともあります。でも、根本的には今も変わってなくて、目立つのが得意なタイプではないですね。人見知りほどではないけど、やっぱり恥ずかしがり屋なのは昔と同じかも。
──カンナさんは年長さんからレスリングを始めたそうですが、当時はどんな気持ちでしたか?
最初は、ただただ楽しかったですね。まだ幼稚園だったので、レスリング教室に行っても、最初の頃はタックルとかはせずに、マット運動とか遊び感覚の練習が多かったんです。だから、「レスリング=楽しい!」って思って始めました。
でも、だんだん本格的な練習になっていくと、「あれ?ちょっとキツイぞ…」って思うことも増えました(笑)。
──内気な性格だったとのことですが、レスリングを始めて変化はありましたか?
始めた頃はまだ人見知りのままでしたね。すぐに性格が変わったわけではなくて、やっていくうちに少しずつ「変わってきたかな」と感じるようになった感じです。
16歳の決断と、20歳のシンデレラストーリー
──格闘技が職業になっていく中で、「これが転機だった」と感じた瞬間はありますか?
高校生のときに、レスリングを辞めたことが大きなターニングポイントでした。レスリングでは本気で上を目指してやっていたんですが、高校生のときに辞めることになって…。当時は本当に辛い決断だったんですけど、今振り返ると、あの決断がなかったら総合格闘技に出会っていなかったし、今の自分もいなかったと思います。
16歳の自分はすごくしんどかったけど、結果的には「いい方向に進んだ時期」だったのかもしれないですね。
──カンナさんが2017年の大晦日にRENAさんに勝った試合、実は生で観ていました!
えー!ありがとうございます!でも、もうあれから8年も経ったんですね…怖い(笑)。
──あの試合は、まさに人生が変わった瞬間だったんじゃないですか?
本当に、あの試合で人生が変わりましたね。次の日から外に出ると、「昨日の試合、観ました!」って声をかけられるようになって。たぶん、自分自身はそんなに変わっていないんですけど、周りが変わったというか、環境が一気に変わった実感はありました。

──あの試合って、まさに“一夜のシンデレラストーリー”みたいな瞬間でしたよね。喜びもある一方で、プレッシャーや孤独感みたいなものもありましたか?
そうですね。あの時、私はまだ20歳で、正直、何が起きてるのか分からないままがむしゃらでした。
試合に勝った瞬間は、もちろん「嬉しい!」という気持ちもあったんですけど、それと同時に、「やっと終わった…!」という安堵感も大きかったです。
トーナメントを優勝するために、1年間ずっとその日を目指してやってきたので、「ここにすべてを懸けてきた」という気持ちが強くて。
あと、レスリング時代には思うようにいかないことも多かったけど、あの時初めて「こうやって自分にも“うまくいく日”が来るんだ」って思えましたね。
がむしゃらな日々と、試合でしか感じられなかった成長
──2018年に入ってからの日々、カンナさんはどんなことを意識しながら過ごしていましたか?
うーん…でも、当時はとにかく「常に強くなりたい」というシンプルな感情だけでやっていましたね。
私は「試合があるから練習する」「試合が決まりそうだから頑張る」みたいな感覚が絶対に嫌で、常に練習して、いつでも試合ができる状態でいたかったんです。練習自体も楽しかったし、とにかく強くなることだけを考えていました。

──今振り返ると、あの頃の自分をどう思いますか?
今思うと…たぶん「コップに水を注ぎ続けて、溢れそうになっていた」ような感覚だったのかもしれないですね。
でも、あの時はそれが良かったし、全然後悔はないです。がむしゃらに強くなりたかったし、それ以外のこと、例えばお金を稼ぎたいとか、目立ちたいとか、そういう欲は一切なくて、ただ純粋に格闘技が強くなりたかった。
だからこそ、思いっきり打ち込めたし、当時はそのスタイルが合っていたんだと思います。
──何戦も戦ってきたと思いますが、「自分、強くなったな」と感じた瞬間はありますか?
それは毎試合感じていましたね。私は試合でしか成長を実感できなかったので、だからこそ試合をたくさんしたかった。試合のたびに「前回よりも強くなったな」と思えていたんです。
でも、ここ1〜2年は少し違ってきて…。
成長への疑問と、負けから立ち上がる強さの狭間で
──引退を考えたのも、この1〜2年だったんですよね?
そうですね。それまでは、試合のたびに成長を感じられていたのに、ここ1〜2年は「自分、成長してるのかな?」って疑問に思うことが増えてきて。
「もしかして、成長が落ち着いちゃったんじゃないか?」って感じることが多くなったのは、確かにこの1〜2年でしたね。
──例えば、勝てなくなったときは、どういうふうに自分と向き合っていましたか?
負けるのって、めちゃくちゃ悔しいじゃないですか。でも、負けたこと自体はもう変えられない。
だから、試合が終わった後は、「あの時こうしていればよかった」とか、「試合前の準備の段階で、これをやっておけばよかった」とか、ひたすら振り返る時間でしたね。
試合のことだけじゃなくて、その試合に向けたすべての期間を振り返って「もっとこうすればよかった」って後悔することもありました。
──負けたことで、すごく落ち込むこともありましたか?
もちろん、めちゃくちゃ悔しいですし、負けた直後はどん底に落ちることもあります。でも、私はわりと切り替えが早いタイプで。
「終わったことを悩んでもしょうがない。じゃあ次、どうするか?」
って考える方なので、負けてズーンと引きずることはあまりなかったですね。もう、「次やるしかない!」っていう気持ちで動いていました。
浅倉カンナ(あさくら・かんな)
1997年10月12日生まれ、千葉県出身。幼い頃からレスリングを始め国際経験も持つ。2014年10月、17歳でプロデビューを果たすと、女子高生ファイターとして注目を集める。16年末よりRIZINに主戦場を移し、17年スーパーアトム級GPでは大晦日の準決勝でマリア・オリベイラに腕十字を極め、決勝ではRENAの打撃に臆することなくタックルを仕掛け、得意のバックチョークで絞め落とし優勝を果たした。18年と21年にタイトルマッチも経験。2024年9月『RIZIN.48』にて王者 伊澤星花との試合をもって現役を引退した。
Hair&make:Chiyo Kato (PUENTE.Inc)
Photo:Rika Matsukawa