「ゴール前では何も考えない」。中島翔哉が重要視する、ストライカーとしての“得点感覚”【アディダス最新モデル発表会Vol.2】
アディダスの新スプリントスパイク発表会「ADIDAS WORLD CUP DAY 2018」が20日、都内で開催され、ポルトガル1部ポルティモネンセMF中島翔哉がスペシャルゲストとして出席した。同じゲストであるジュビロ磐田の名波浩監督、ガイナーレ鳥取の代表取締役GMを務める岡野雅行氏とのトークセッションに参加。現代フットボールに必要な“スプリント”をテーマにトークを繰り広げ、その中でポルトガルと日本のスピードの違いや、自身のゴール前での感覚について語った。
佐藤校长
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2018/05/23
<アディダス最新モデル発表会Vol.1はこちら>
MC:このトークセッションでは、「現代フットボールにおいて、スプリントがなぜ重要なのか」ということをテーマに皆さんとディスカッションしていきたいと思っています。まず名波さんにお聞きしますが、ヨーロッパなど世界を見ても、ショートカウンタ-はサッカー界のトレンドになっていると感じますか?
名波:もちろん感じますね。ボールを繋いで繋いでというポゼッションサッカーより、ショートカウンターは現代サッカーを象徴している戦術だなと。
高い位置からのプレッシャーの連動、ファーストディフェンダー(最初に守備に行く選手)の戻りの速さ、そして良いアングルでボールを奪った後のファーストプレーの質も含めて、そう感じます。
なのでリトリート(ボールを奪われた後、ほぼ全員が自陣に下がりゴールを堅く守る戦術)してロングカウンターを狙う戦術より、前線からのプレスにショートカウンターという戦術の方がフィニッシュまでの時間は短くなってるんじゃないかなと思います。
MC:ありがとうございます。では、中島選手に伺いますが、ポルトガルでプレーしていて「ゴールに直結するまでの時間が短いな」と感じたりしますか?
中島:そうですね。ポルトガルリーグの方が、Jリーグよりもゴールにいくまでのスピードは速いなとは思いますし、加えてダッシュやスプリントの回数の多さ、それからパワーの部分でも日本よりレベルは高いなと感じています。
MC:なるほど。チームとして「速く攻めよう」というように、スプリントにフォーカスした指示というのはあります?
中島:はい。相手の裏を狙うスプリントというのはチームから要求されますし、よりゴールに直結するような武器は常に求められています。
MC:やはり、戦術の中では「速い攻め」というところがポイントになっているんですね。岡野さんは現役時代にショートカウンターといった「速い攻め」を重要視されていましたか?
岡野:私の場合、ショートカウンターというより“1人カウンター”だったので(笑)。自分で裏に出して自ら走っていくという。
なのでやはり高い位置で奪って、その奪った瞬間にゴールに直接向かう動きというのは非常に大事だなと。私はそれがウリだったので。毎試合「(味方が)奪ってくれるな」って予測して、いつも裏に抜けていましたから。
MC:名波さんは岡野さんとプレーされている時に、そういったFWとしての特徴を意識してパスを出されていたんですか?
名波:そうですね。ボールを奪った瞬間に、岡野の前にスペースがあれば狙っていました。まぁ言葉悪く言えば適当にパスを出しても(岡野は)走り勝ってくれるんで(笑)。相手と競争するようなボールを出したりもしていました。
翔哉なんか東京ヴェルディ時代(2012-2013年)から見ていますけど、常に前選択、むしろゴール直結選択なんで、こういうショートカウンター時代のモデルケースとしては代表される選手なんじゃないかなと思いますね。
MC:ありがとうございます。ここからはスパイクの話も皆さんにはしていただきたいと思います。では中島選手、有効なスプリントを繰り出すうえで、ご自身が思うスパイクの重要性を教えていただけますか?
中島:やはり素足の感覚というか、普通はスパイクを履いているけど、感覚的には履いていないようなフィット感というのは自分にとって重要ですね。
それから、意外とスパイクの見た目も自分は気にします。あんまり暗い色とか目立たない色は好きじゃないので、そういう意味ではアディダスのスパイクはデザイン含めてすごく好きですね。
MC:では、そのスパイクにも注目しながら、今からある映像を皆さんにはご覧いただきたいと思います。
(ここで、会場のモニターにポルトガルリーグでの中島のプレーVTRが流された)
MC:中島選手のプレーをご覧いただきましたが、岡野さんから見て、中島選手のスプリントはいかがでしたか?
岡野:本当に予測が早いですね。いつでも裏を狙っていて、いつでも(ボールが)どこにこぼれても反応できているように思えます。必ず予測しているので、なかなか相手は守りにくいんじゃないかなと。
それから走るコースとか、相手のコースの取り方っていうのが非常にうまい。相手からすれば、あれを引っ掛けたらファウルを取られて、PKになってしまう。そういうコースの取り方っていうのがすごくうまいなと思いますね。最後のフィニッシュもうまいですし。
MC:名波さんはいかがでしょう?
名波:走る速さもさることながら、岡野が言った予測する早さが素晴らしいですね。そのスピードがないとゴールに直結するイメージっていうのはできないと思うので、それが両方備わっているということは素晴らしいです。
今よりさらに若い時からもゴールを常に意識してプレーしていたので、シュートを打つまでの早さも含めて、今の翔哉には動きにさらなるスピードが加わっているんじゃないかと思いますね。
MC:中島選手はご自身のプレーを見て、何か思うところはありますか?
中島:・・・う〜ん(笑)
MC:なかなかご自身のプレーは(笑)
中島:そうですね、自分自身のプレーはあまり速いとも思わないですし、もっと速くできるって常に思っているので。自分のプレーに関してはちょっと納得いかないプレーが多いですね。
MC:どのあたりをもっと良くしていけたらいいとなと感じていますか?
中島:このVTRのプレーは、サイドから打った僕のシュートがポストに当たって、こぼれ球を味方が決めるというシーンなんですけど、あれはゴールできたと思いますね。
あとループシュートを決めたシーンもあったんですけど、そこももう少しスピードを上げて、走っているスピードのままでループシュートを決めるっていうのをやりたいです。
MC:なるほど。では、前線に仕掛けていくとき特に意識していることって何でしょう?
中島:味方がボールを持ったら、その選手のボールの持ち方を見て、どのスペースに行こうかっていうのを考えますけど、ゴール前だったら何も考えていないですね。
MC:何も考えない!?
中島:はい。何も考えずに感覚でいつもやっています。
MC:今のお話を踏まえて名波さんにお聞きします。例えば、中島選手がいるチームで名波さんが監督だった場合、どんな指示を出します?
名波:出し手、受け手でいうと、翔哉はおそらく受け手になる回数が多い選手だと思うんですけど、まず出し手とスペースを共有することを意識してもらいます。
それと本人はさっき「ゴール前では何も考えていない」って言いましたけど、シュートのイメージは確実に持っていると思うので、そこは一度スペースを共有した中で、フィニッシュは自分の形に持っていけと。そういう指示をすると思いますね。まぁヨーロッパで2桁点を取っている選手に言うのは失礼だと思うんですけど(笑)。
MC:やはり中島選手はそのスピード、そしてゴールへの感覚が素晴らしく長けているなと感じましたね。今回はたくさんの貴重なお話を聞くことができました。皆さん、ありがとうございました。
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<INFO>
中島翔哉(ポルティモネンセ所属)
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MC:このトークセッションでは、「現代フットボールにおいて、スプリントがなぜ重要なのか」ということをテーマに皆さんとディスカッションしていきたいと思っています。まず名波さんにお聞きしますが、ヨーロッパなど世界を見ても、ショートカウンタ-はサッカー界のトレンドになっていると感じますか?
名波:もちろん感じますね。ボールを繋いで繋いでというポゼッションサッカーより、ショートカウンターは現代サッカーを象徴している戦術だなと。
高い位置からのプレッシャーの連動、ファーストディフェンダー(最初に守備に行く選手)の戻りの速さ、そして良いアングルでボールを奪った後のファーストプレーの質も含めて、そう感じます。
なのでリトリート(ボールを奪われた後、ほぼ全員が自陣に下がりゴールを堅く守る戦術)してロングカウンターを狙う戦術より、前線からのプレスにショートカウンターという戦術の方がフィニッシュまでの時間は短くなってるんじゃないかなと思います。
MC:ありがとうございます。では、中島選手に伺いますが、ポルトガルでプレーしていて「ゴールに直結するまでの時間が短いな」と感じたりしますか?
中島:そうですね。ポルトガルリーグの方が、Jリーグよりもゴールにいくまでのスピードは速いなとは思いますし、加えてダッシュやスプリントの回数の多さ、それからパワーの部分でも日本よりレベルは高いなと感じています。
MC:なるほど。チームとして「速く攻めよう」というように、スプリントにフォーカスした指示というのはあります?
中島:はい。相手の裏を狙うスプリントというのはチームから要求されますし、よりゴールに直結するような武器は常に求められています。
MC:やはり、戦術の中では「速い攻め」というところがポイントになっているんですね。岡野さんは現役時代にショートカウンターといった「速い攻め」を重要視されていましたか?
岡野:私の場合、ショートカウンターというより“1人カウンター”だったので(笑)。自分で裏に出して自ら走っていくという。
なのでやはり高い位置で奪って、その奪った瞬間にゴールに直接向かう動きというのは非常に大事だなと。私はそれがウリだったので。毎試合「(味方が)奪ってくれるな」って予測して、いつも裏に抜けていましたから。
MC:名波さんは岡野さんとプレーされている時に、そういったFWとしての特徴を意識してパスを出されていたんですか?
名波:そうですね。ボールを奪った瞬間に、岡野の前にスペースがあれば狙っていました。まぁ言葉悪く言えば適当にパスを出しても(岡野は)走り勝ってくれるんで(笑)。相手と競争するようなボールを出したりもしていました。
翔哉なんか東京ヴェルディ時代(2012-2013年)から見ていますけど、常に前選択、むしろゴール直結選択なんで、こういうショートカウンター時代のモデルケースとしては代表される選手なんじゃないかなと思いますね。
MC:ありがとうございます。ここからはスパイクの話も皆さんにはしていただきたいと思います。では中島選手、有効なスプリントを繰り出すうえで、ご自身が思うスパイクの重要性を教えていただけますか?
中島:やはり素足の感覚というか、普通はスパイクを履いているけど、感覚的には履いていないようなフィット感というのは自分にとって重要ですね。
それから、意外とスパイクの見た目も自分は気にします。あんまり暗い色とか目立たない色は好きじゃないので、そういう意味ではアディダスのスパイクはデザイン含めてすごく好きですね。
MC:では、そのスパイクにも注目しながら、今からある映像を皆さんにはご覧いただきたいと思います。
(ここで、会場のモニターにポルトガルリーグでの中島のプレーVTRが流された)
MC:中島選手のプレーをご覧いただきましたが、岡野さんから見て、中島選手のスプリントはいかがでしたか?
岡野:本当に予測が早いですね。いつでも裏を狙っていて、いつでも(ボールが)どこにこぼれても反応できているように思えます。必ず予測しているので、なかなか相手は守りにくいんじゃないかなと。
それから走るコースとか、相手のコースの取り方っていうのが非常にうまい。相手からすれば、あれを引っ掛けたらファウルを取られて、PKになってしまう。そういうコースの取り方っていうのがすごくうまいなと思いますね。最後のフィニッシュもうまいですし。
MC:名波さんはいかがでしょう?
名波:走る速さもさることながら、岡野が言った予測する早さが素晴らしいですね。そのスピードがないとゴールに直結するイメージっていうのはできないと思うので、それが両方備わっているということは素晴らしいです。
今よりさらに若い時からもゴールを常に意識してプレーしていたので、シュートを打つまでの早さも含めて、今の翔哉には動きにさらなるスピードが加わっているんじゃないかと思いますね。
MC:中島選手はご自身のプレーを見て、何か思うところはありますか?
中島:・・・う〜ん(笑)
MC:なかなかご自身のプレーは(笑)
中島:そうですね、自分自身のプレーはあまり速いとも思わないですし、もっと速くできるって常に思っているので。自分のプレーに関してはちょっと納得いかないプレーが多いですね。
MC:どのあたりをもっと良くしていけたらいいとなと感じていますか?
中島:このVTRのプレーは、サイドから打った僕のシュートがポストに当たって、こぼれ球を味方が決めるというシーンなんですけど、あれはゴールできたと思いますね。
あとループシュートを決めたシーンもあったんですけど、そこももう少しスピードを上げて、走っているスピードのままでループシュートを決めるっていうのをやりたいです。
MC:なるほど。では、前線に仕掛けていくとき特に意識していることって何でしょう?
中島:味方がボールを持ったら、その選手のボールの持ち方を見て、どのスペースに行こうかっていうのを考えますけど、ゴール前だったら何も考えていないですね。
MC:何も考えない!?
中島:はい。何も考えずに感覚でいつもやっています。
MC:今のお話を踏まえて名波さんにお聞きします。例えば、中島選手がいるチームで名波さんが監督だった場合、どんな指示を出します?
名波:出し手、受け手でいうと、翔哉はおそらく受け手になる回数が多い選手だと思うんですけど、まず出し手とスペースを共有することを意識してもらいます。
それと本人はさっき「ゴール前では何も考えていない」って言いましたけど、シュートのイメージは確実に持っていると思うので、そこは一度スペースを共有した中で、フィニッシュは自分の形に持っていけと。そういう指示をすると思いますね。まぁヨーロッパで2桁点を取っている選手に言うのは失礼だと思うんですけど(笑)。
MC:やはり中島選手はそのスピード、そしてゴールへの感覚が素晴らしく長けているなと感じましたね。今回はたくさんの貴重なお話を聞くことができました。皆さん、ありがとうございました。
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