香川真司の栄光の裏に隠された苦悩の日々ー「挫折は大きな財産」自分と向き合い続ける屈強な精神力とサッカー人生
2006年にセレッソ大阪に加入し、プロサッカー選手となった香川真司。2010年にはドイツのボルシア・ドルトムントに移籍し、ブンデスリーガ2連覇に貢献。その後、世界最高峰の1つであるプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドに所属し、当時の日本人が経験したことのないステージに到達した。日本代表でも背番号10を背負い、順風満帆なキャリアを送る香川選手が味わった大きな挫折とは? 配信サービス「Lemino」のドキュメンタリー番組『Number TV』にて香川選手の口から語られたのは、世界で活躍する中でぶつかった壁を克服し、再び栄光を手にするまでの知られざる苦悩の道のりだった。※トップ画像提供/Getty Images
北京五輪での挫折から意識した世界との距離
セレッソ大阪で頭角を現した香川選手は、2008年の北京五輪日本代表に選出。しかし、3戦全敗に終わった当時の経験をこう語る。
「初戦がアメリカで、Jリーグでは経験していない選手と対峙して圧倒された。自分の実力が、まだまだ世界レベルから遠いと感じ、これが1つの大きなきっかけとなって、世界に出ないといけない気にさせられた」
キャリア最高潮のW杯で味わった大きな挫折
香川選手は21歳のときにドイツの名門ボルシア・ドルトムントに移籍し、ブンデスリーガ2連覇に貢献。その後ヨーロッパの最高峰、プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドへと活躍の場を移す。
日本代表でも中心選手として背番号10を背負い、2014年のブラジルW杯を迎える。しかし「圧倒してやる」と自信をもって臨んだこの大会で、香川選手を待ち受けていたのは「あの日は忘れられない」と語るほど大きな挫折だった。
初戦、1点リードで迎えたハーフタイムの状況を、香川選手はこう振り返る。
「『これじゃだめだぞ。俺たちが積み重ねてきたサッカーが全然できていない』みたいな。勝っているのに焦っている、余裕のない状況だったことは覚えています」
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この嫌な予感は当たり、試合は逆転負けを喫する。続く試合でも結果を残せず、自分たちの力を発揮できないままW杯が終わった。その後も、香川選手に試練が続く。移籍先の所属クラブでも、日本代表として出場したアジアカップでも、納得のいく成果が得られなかったのだ。
どん底から這いあがるための努力と訪れた栄光
勝てない悪循環から抜け出すため、香川選手は個人トレーナーやシェフを雇用し、自分の体と向き合った。さらにケガなどで不調のときには、セカンドオピニオンとして日本代表のチームドクターだった池田浩医師の診察を受けられる環境を整えた。
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自分を変えようともがき苦しんだ日々を乗り越え、香川選手はついに2016-2017シーズンのドイツカップにて優勝を果たす。
「壁が来るたびに大変だと思いながら登っていたものが、『なんでも来いよ』というぐらいに怖くなくなった。次の壁を楽しみにしている自分がいた」と、このときの心境を口にする。次々に来る壁を乗り越え、サッカー選手としても人としても成長した証が、この優勝カップだったようだ。
ロシアW杯で掴んだ初ゴールと初勝利
2018年には、ロシアW杯の開幕戦を迎える。試合開始前のウォーミングアップの時点で香川選手は良い予感がしていて、実際に前半3分に自らPKを獲得した。
「自分のやることに集中し、失敗することも成功することも想像していなかった。ただ、その瞬間を何も考えずに待っていた」と、当時の様子を振り返った。
このときに決めたゴールを「自分の過去を含めて色々な思いが詰まった、すごく忘れられないゴールです」と語った。香川選手は、ついにW杯で初勝利を掴んだのだ。
ブラジルW杯での「挫折地点」を振り返って
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香川選手にとって「挫折地点」となった2014年のブラジルW杯。それは、どんな意味を持っていたのか。
「あのときの自分はこの世の終わりかというくらい、目の前が真っ暗でした。それでも、次の日はやってきて、次の戦いがまた始まる。『サッカーに救われているな』と感じていました」
大きな挫折を経て、香川選手が出した答えは「自分自身がどうありたいか、どういうサッカー選手でありたいか」だった。勝つ日もあれば、負ける日もある。その中で「自分のストロング(強み)は何か」を問いかけるようになったことが、大きな財産になったようだ。
そして挫折を糧に努力を重ね、常に上を目指すサッカー人生を、香川選手は今も歩き続けている。
『Number TV』 挫折地点~あのとき前を向いた理由~
タイトル:#6香川真司
配信日:2024年9月26日(木)0:00~ 全24回配信(月2回配信予定)
内容:トップアスリートの「挫折」と「復活」をテーマにしたドキュメンタリー番組。過去の写真が飾られた特別な空間(Number Room)で、アスリート本人がこれまでの人生を振り返り、挫折の瞬間や前を向けた理由について語る。
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