「負けるのは大嫌い」5連戦で1勝4敗もエディー・ジョーンズHCがジャパンの未来に抱く希望~前編~
『ラグビーリポビタン D チャレンジカップ 2024 』が6月22日から7月21日まで5戦行われた。1勝4敗の厳しい結果となったが、エディー・ジョーンズヘッドコーチは若手育成に心血を注ぎ未来への期待を語る。※トップ画像提供/JRFU
エディー・ジョーンズヘッドコーチ2回目の就任
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2023年12月13日。ラグビー男子日本代表のチームヘッドコーチとしてエディー・ジョーンズ氏の就任が発表された。
2012–2015年以来2度目の就任で、「超速ラグビー」というコンセプトを打ち出し、新しいスタイルを浸透させるべくエディー・ジャパンは始動。2月に福岡、5月下旬に菅平で行われた2回の合宿を経て、6月6日からの宮崎合宿で日本代表メンバーが揃った。
(※)2月の合宿は『THE CROSS-BORDER RUGBY 2024』に出場したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ、埼玉パナソニックワイルドナイツ、横浜キヤノンイーグルス、東京サントリーサンゴリアスの各チームに所属する選手。5月の合宿は『リーグワン2023-24プレーオフトーナメント』並びに入替戦選出チームに所属する選手は参加していない。
リポビタンDチャレンジカップ2024の5戦は1勝4敗
6月22日(土) 日本代表17-52イングランド代表@国立競技場(東京)
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2023年W杯フランス大会に出場したメンバーは11名。エディーHCが2015-2022年までヘッドコーチを務めたイングランドとの対戦という点も注目された。
代表戦(テストマッチ)初出場を意味する「初キャップ」を獲得した選手は、12名。中には早稲田大学のFB矢崎由高も含まれる。
だが、エディーHCがかつてイングランドを率いた時に発掘したSOマーカス・スミスをはじめとするイングランド代表の選手たちに、経験の違いや世界ランキング上位チームの強さを見せつけられた。
6月29日(土)JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)10-36マオリ・オールブラックス ※ @秩父宮ラグビー場(東京)
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代表戦扱いではないものの、世界の強豪相手にプレイする経験を積む貴重な機会となった試合には、経験を積ませるという意味も含めて矢崎由高(早稲田大学)、佐藤健次(早稲田大学)、森山飛翔(帝京大学)、本橋拓馬(帝京大学)と大学生の起用が目立った。
結果は残念ではあったが、若い選手の経験が今後の発展につながることを期待したい。
7月6日(土)JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)26-24マオリ・オールブラックス ※ @豊田スタジアム(愛知)
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前半10分サミソニ・トゥア(浦安D-Rocks)のトライで先制した日本代表は、前半を無得点に抑えた。
後半13分には竹内柊平(浦安D-Rocks)がトライを決めたが、その後はマオリ・オールブラックスの反撃に遭い、カート・エクランド、タイロン・トンプソンにトライを奪われるも、後半36分には佐藤健次(早稲田大学)のトライが飛び出してリードを広げた日本代表は26-24で勝利を手にした。
※マオリ・オールブラックスとは、ニュージーランドの先住民にルーツを持つ選手のみで構成されたチームである。
7月13日(土)日本代表23-25ジョージア代表 @ユアテックスタジアム仙台(宮城)
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世界ランキング14位のジョージアと12位の日本による戦いとなった。前半3分にジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)のトライで先制をあげたものの、前半20分には下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)がレッドカードで退場となり、14人の戦いを余儀なくされた。
後半24分にはここまで本シリーズにフル出場を続けている長田智希(埼玉ワイルドナイツ)が日本代表初のトライ、後半25分には李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)のコンバージョンキックも決まり23-18とリードを広げたが…。
後半32分にサナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ)がイエローカードを提示されて10分間の退場。最後は13人での戦いを強いられた。
その後、数的不利な日本代表は後半34分、35分にジョージアにトライとコンバージョンキックを相次いで決められ、悔しい逆転負け。まさかの敗戦となった。
7月21日(日)日本代表vsイタリア代表 12-42 @札幌ドーム(北海道)
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『ラグビーリポビタン D チャレンジカップ 2024 』最終戦は世界ランキング8位で、2024年の『シックスネーションズ』ではスコットランド代表とウェールズ代表を倒すなど、好調のイタリアと対戦した。
世界ランキング14位の日本代表は、“格上”を相手に必死に戦ったが、イタリアの5トライに対し、日本はディアン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ)の2トライに留まり、終始イタリアの優勢で進んだ試合は、12-42で敗れた。
エディー・ジョーンズHCによる総括インタビューコメント
写真/筆者撮影
7月23日(火)日本ラグビー協会で行われたエディーHCは総括として次のように語った。
チームを作り上げるというところに関してはもちろん時間がかかるものです。我々としてはイングランド戦、イタリア戦、そしてジョージア戦でもうまくいっているし、ラグビーができているシーンといったものも垣間みられたところがあると思います。特にジョージア戦に関してはレッドカードで一人少ない中、非常にうまくいった局面が多かったと思っています。
こういった局面からも考えられることは現在続いている結果というものは今後長くは続かないだろうと思っています。
皆さんが結果について残念に思っていらっしゃることは重々承知していますし、自分としても結果はとても悔しく思っていますが、方向性に関しては間違ったので進んでいるとは決して思っていません。
私はとても負けず嫌いです。負けることは大嫌いですし、自分としては現実的にこのラグビー日本代表のチームのプロジェクトに取り組んでいます。全くこれまで違ったチーム、古いチームだったところを若手の育成か、始めているところに関してはとても厳しいプロジェクトであると認識しています」。
後半では、若手育成について取り上げる。