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張本美和がマカオで見せた中国勢撃破に世界女王との激闘 「ロス五輪ではシングルスに出たい」16歳が歩み始めた新たな道のり

卓球の「WTTチャンピオンズマカオ2024」が9月9日から15日にかけて行われた。男女ともに世界ランキング上位者が出場した今大会は、日本からも4選手ずつ計8人がエントリーし、上位進出が期待された。そんななか、日本女子では唯一のベスト4進出を果たし、中国相手にも印象に残る戦いぶりを見せたのが16歳の成長株、張本美和である。※トップ画像/(C)WTT

图标 30716468 1048529728619366 8600243217885036544 n伊藤雅孝 | 2024/09/17

日本女子最高位として出場

今回日本女子は、エース格で世界ランキング5位の早田ひなが故障のため出場を辞退。伊藤美誠、平野美宇、木原美悠が名を連ねたなか、大会前時点で同8位の張本が第5シードとして挑むことになり、最年少の16歳ながらより高い順位が求められた。

張本は初出場で団体戦銀メダル獲得に貢献したパリ五輪を終えたなか、次のロサンゼルス五輪に対しても「もちろん狙っています」と断言。「次のロス五輪では個人戦のシングルスに出場したいと思っているので、まだどんな選考基準か分からないですが、自分の1試合1試合が五輪にもつながると思います」と意気込んでいた。

張本は次のロス五輪時は20歳を迎えており、2度目の出場を果たせば、選手として脂の乗り切った時期で迎えることができる。さらなるレベルアップを果たし、真の世界トップ選手への階段を登るためにも、国際大会での上位進出は期待されることだった。

そんななか、張本はこの大会で、36歳のベテランで世界ランキング15位のヤン・シャオシン(モナコ)相手にストレート勝ちを収め、幸先良いスタートを切る。さらに、2回線では今季の国際大会で伊藤や平野という日本勢を下しているプリティカ・パバド(フランス)という難敵との対戦だったが、ここでも終始張本がペースを握る形でスコアは3-0。1ゲームも落とさずに順当に準々決勝に勝ち進んだ。

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(C)WTT

世界6位に挑んだ互角のラリー勝負

準決勝をかけて張本の前に立ちはだかることになったのが世界ランキング6位の陳幸同(中国)。張本にとっては格上となる27歳はバック中心の堅実なラリーが持ち味であり、層の厚い中国の上位陣の前にパリ五輪メンバーにこそ入っていないものの、世界トップクラスの実力を持つ。

張本も中国選手相手に対して「最後ラリーになる場面はどうしても1番多いと思います」とポイントを明かしており、「そうなった時に相手の緩急だったり、1本でも多く返ってくるという意味ではまだ自分が及ばない部分」と自身の現状を分析していた。今大会1回戦で平野を下していた相手に挑むことになった。

そんな試合で張本が演じたのは想定通りの激しいラリーの攻防。第1ゲームから陳幸同と真っ向に打ち合う展開のなか、第1ゲームは終盤にポイントを重ねられて6-11で失う入りとなった。それでも、第2ゲーム以降はラリーに加えて、サービスからの3球目のレシーブや長短の球の出し入れで張本が総合的に優位に立ち、試合を支配するようになる。

第2、3ゲームを7-11で奪い王手をかけた張本は、第4ゲームも相手に流れを渡すことなく取り切りゲームカウント3-1で逆転勝ち。WTTシリーズでは初対戦となった相手から値千金の白星を挙げた。

張本は、「試合の戦術はとくになくて、とにかくミスをしない。相手より1本返してやるという気持ちだけで試合に挑んだ」と試合に挑む心構えを明かし、「中国選手とやるときには1本の凡ミスが許されないので勝てそうと思った時がない。勝った瞬間に『勝ったんだ!』という感じだった」と無心での勝利に喜びを示した。

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世界女王が見せた驚異の粘り

そして張本が辿り着いたのが世界ランキング1位の孫穎莎(中国)との戦い。張本だけでなく日本女子卓球界にとって、ここ数年高い壁として君臨してきた選手。パリ五輪でも3つのメダル(金2つ、銀1つ)に輝いた相手に今の張本の実力が試された。

試合序盤から繰り広げたのが互角の打ち合い。陳幸同との戦いで見られた強気の攻めを世界女王相手にも仕掛けて僅差の攻防になる。第1、2ゲームともに張本が先にゲームポイントを掴むが、ここで見られたのが孫穎莎の驚異的な粘り。徐々に点差を詰めて重要なポイントを与えずにデュースに持ち込み、この2ゲームを奪い切った。

それでも、ここで完全に流れを渡さなかった張本が意地を見せる。序盤から互角だったバックだけでなく、機を見てフォアでもポイントを奪うなど、気落ちすることなく立ち向かう。第3ゲームを11-9、第4ゲームを13-11でそれぞれ取り切り、堂々たる戦いで同点に持ち込んだ。

しかし、試合後に張本が「2-2に追いついたあとに孫穎莎選手が変化をしてきて、サーブのスピードだったり相手(の引き出し)が多かった」と振り返ったように、第5ゲーム以降にギアを入れ替えた孫穎莎がここからは支配する。奮闘を見せた張本だがゲームカウント2-4で敗れ、マカオでのチャンピオンズをベスト4で終えた。

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来年5月にドーハで開催の世界卓球個人戦への出場を視野に入れる張本は、10月に予選を兼ねてアジア卓球選手権に挑むことになる。ロス五輪への新たな一歩を踏み出したなか、マカオでは手応えのある戦いで日本女子をけん引する働きを見せた。ここからさらなる世界ランキングの上昇や中国トップ勢撃破へも期待が高まった16歳が、トップ・オブ・トップへの階段を登り始めた。

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