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【大谷翔平】ドジャース1年目で掴んだ悲願の世界一&二冠王「50-50」達成に初出場のWS 伝説刻んだ2024年シーズンの軌跡

ドジャースは10月30日(日本時間31日)、ヤンキースとのワールドシリーズ第5戦に7ー6で勝利。通算4勝1敗として、2020年シーズン以来4年ぶり8度目の世界一を決めた。昨オフにエンゼルスからフリーエージェント(FA)となり、北米プロスポーツ史上最高額の10年総額7億ドル(約1015億円)でドジャースに加入した大谷翔平投手。移籍1年目の30歳に入ったシーズンで華々しい活躍を披露して、最高の形でフィナーレを迎えることになった。※トップ画像 出典/Getty Images

图标 30716468 1048529728619366 8600243217885036544 n伊藤雅孝 | 2024/11/04

2021年から見せてきた進化

大谷はエンゼルスからFAとなった2023年オフに、オリックスからポスティングシステムで米に挑戦した山本由伸投手とともにドジャースに加入。メジャーの移籍市場でも最高評価を受けた2人の日本人選手の加入により、世界一への期待が高まったなかシーズンがスタートした。

大谷はエンゼルスでの最終シーズンに負傷した右ひじのリハビリ期間に充てるために2024年シーズンは投手を封印し、打者に専念。開幕当初はムーキー・ベッツ内野手に続く2番を任され、シーズン途中からは1番に定着した。大谷、ベッツに加えて、主に3番を任されたフレディ・フリーマン内野手の3人はいずれもシーズンMVPに輝いた実績をもち、メジャー最高と呼べる上位打線が形成された。

大谷は46本塁打を記録して、打者として本格ブレイクを果たした2021年以降、毎年進化の跡を見せてきた。22年には投手として15勝を挙げながら、打者としては2年連続の30本塁打を達成し、打率を前年度の.257から.273まで上昇。さらに翌年の23年にも投手として2桁勝利を達成した一方で、打率.304で初の規定打席に到達しての3割超えを達成し、44本塁打で日本人選手では史上初のホームラン王のタイトルも獲得した。

そして迎えたドジャース1年目で発揮されたのが、大谷の類まれなアスリート能力である。すでにメジャーの世界では屈指のパワーヒッターとしての評価を確立していたなかで、磨きをかけたのが走塁面。投手稼働をせずに打者専念となった今季は、打率の上昇も相まってトリプルスリーを狙えるペースで盗塁も積み重ねた。ベッツが負傷離脱した6月中盤以降は1番に座ったこともあり、パワーにスピードも併せ持つリードオフマンとしての役割を担った。

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画像 出典/Getty Images

歴代のレジェンド日本人超え

ア・リーグからナ・リーグに環境を変えながらも昨年に引き続き本塁打王争いをリードし、オールスターにも4年連続で選出されて初ホームランを記録。大型契約のプレッシャーとは無縁の前半戦を過ごした大谷の活躍は、後半にかけてさらに勢いを増した。

大谷は打撃3部門でリーグ上位に顔を出す傍らで、盗塁も2021年に記録した自己最多の26盗塁を早々にクリア。そして迎えた8月22日(同23日)のレイズ戦で40個目のスチールを成功させると、9回裏に2アウト満塁で回ってきた第5打席でグランドスラムを放つ。出場126試合目での「40-40」達成は史上最速となり、バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、ホセ・カンセコなど、歴代の錚々たるスラッガーのなかに日本人選手が名を連ねた。

ドジャースが地区優勝とプレーオフを見据えた戦いとなった終盤に入ると、さらに大谷の輝きは増すことに。ホームランは2021年の自己最多だった46本を塗り替え、前人未到の記録達成が視界に入る。そして迎えた9月19日(同20日)のマーリンズ戦では6打数6安打、3本塁打10打点2盗塁を記録して「50-50」を達成。節目となる試合で華々しい活躍で記録を達成してしまう大谷のスーパースターぶりがまた証明された一夜となった。

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来源/盖蒂图片社

2024年のレギュラーシーズンをフルで走りきった大谷は159試合に出場し、打率.310、54本塁打、130打点、59盗塁を記録。本塁打、打点でナ・リーグ二冠に輝き、打点は2005年の松井秀喜(116打点)、盗塁は01年のイチロー(56盗塁)という日本人野手の先駆者と呼べるレジェンド2人を打者専念のシーズンで超えてみせた。

満身創痍も自身初のPSを戦い抜く

そして、大谷にとって初挑戦となったのがメジャー7年目にして掴んだポストシーズン。パドレスとの地区シリーズでは初戦にいきなりチームを救う同点3ランで華々しいデビューを飾ると、チームは1勝2敗と敗退の危機になりながら、最後は総力戦で勝ち抜き、メッツとのリーグ優勝決定シリーズでは、第3戦から2試合連続本塁打を放つなど、勝負強い打撃でチームをけん引し、ワールドシリーズに導いた。

迎えたヤンキースとの世界一をかけた戦いでは、終盤にして最大の危機が大谷を襲った。第2戦ではチームが連勝を収めたなか、7回に盗塁を試みた際に左肩を亜脱臼するアクシデント。第3戦以降は痛み止めの薬とテーピングを巻いたなかでの強行出場となったが、ドジャースの1番として戦い抜き、移籍1年目にしてチャンピオンリングを手にすることになった。

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出典/MLB Photos via Getty Images

数々の華々しい記録や名場面を残した2024年の大谷だが、至るところで語られてきたのが「チームの勝利」。NPB時代は16年に日本ハムを日本一に導きメジャー挑戦の足がかりを作り、23年のワールド・ベースボール・クラシックでは今季も散見された感情剥き出しの姿を見せるなど、フォア・ ザ・チームの姿勢で優勝に導いてきた。そして、ワールドシリーズ優勝を求めて移籍したドジャースでも有言実行する形で自身最高と呼べるシーズンに花を添える形となった。