楽天“宗山塁”の流儀ー「毎日考えながら練習し続けたことが今に繋がっている」プロが絶賛する守備職人のこだわりとは
2024年「プロ野球ドラフト会議」の目玉はこの男だった。5球団競合の結果、東北楽天ゴールデンイーグルスへ入団が決まった明大・宗山塁。今年3月の侍ジャパンシリーズでは大学生ながらトップチームに代表入りを果たし、常に注目を浴び続けてきた。侍ジャパン代表の監督を務める井端弘和は、就任前からその“守備力”に太鼓判を押していた。「侍ジャパン 明治大・宗山塁 ~侍ジャパンの未来の守備職人~」では、宗山選手の守備力へのこだわりの秘密が明らかになっている。※トップ画像出典/白鳥純一
キングギア編集部 エンタメ班
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2024/12/10
球界を代表する名手が認めた守備力の持ち主
撮影/白鳥純一
『一度、その守備を見た者は、必ず虜になる』ー宗山選手のフィールディング（※）は、大学生にして最高級の評価を受けている。現役時代、守備のスペシャリストに与えられるゴールデングラブ賞を7度受賞した井端監督は次のように宗山選手を絶賛する。
「最初（宗山を）知らないで見に行った時、ショートの位置で打球も飛んでいないのに、『ショートにいいのがいるな』と。欠点がないかと思って間近で見たんですが、何も言うことはなかったので。そんな選手が大学にいるのか」と驚きを隠さなかった。一流の守備職人がほれ込む存在。それが宗山選手だ。
高校は広島の広陵でプレーし、甲子園には春夏通じて二度出場。明大では1年からスタメン出場を果たすと、ハイレベルな東京六大学野球リーグで首位打者、四度のベストナインを受賞した。順調な野球人生を送ってきた宗山選手の、その輝かしい結果の裏には、鍛え抜かれた思考力がある。自身のプレースタイルに対し、イメージする選手や具体像を問われた宗山選手は、こう話した。
「具体的に“この選手”というより、自分なりのベストを目指しています。他の選手とは違う、自分の良さを見つけていきたいです」。誰かの守備を真似るのではなく〝自らの守備〟を確立する。その姿はまさに職人そのものだった。
※捕球や送球など一連の守備動作のこと
名手が絶賛する守備のこだわりを本人が分析
では、宗山選手は守備動作に、どのような「こだわり」を持っているのか。グラブを左手にはめ、手取り足取りで表現しながら説明した。「打球が来たら左手のライン。グローブにボールを合わせて動いて、捕ればそのまま自然に一塁に投げる形ができる」。大切なのは、体の左側の意識。グラブをはめている指先から肩までのラインの意識が大事だと話す。
そして、その境地に至った経緯を問われると「（捕球に至るまでの）自分の入るルートに無駄が出ると、いまいちバウンドが合わない。自分の左側、左腕、グローブのラインに合わせれば、ボールまで行くのに無駄がないという感覚がありました。なので、そういった意識になりました」と分析。試合での守備機会はもちろん、練習で数多く受けてきたノックの中で意識を高めていった。
源田壮亮 選手（出典/Getty Images）
実はこの意識は、球界の名手にも通じるものだった。西武ライオンズでプレーし、これまで7年連続七度のゴールデングラブ賞受賞を果たした源田壮亮は、守備動作に対する意識を次の通りに説明した。
「捕ると投げるを別物にしちゃうと、ぎこちなく見える。そこを一連の流れで行けるように、投げやすいところで捕るということですね。打球が来た際は、左のグラブのラインにボールが来るように動きます。そういう意識で待って、最後にそこに（足を）またいであげる」。一線級で活躍する源田選手の守備への意識に、宗山選手は大学生にして同じレベルにまでたどり着いていたのだった。
唯一無二の守備力を育んだ宗山塁の原点
撮影/白鳥純一
宗山選手は自身のルーツを「幼少期からずっと、気づいたら野球をやっていた感じです。毎日、自分で考えながら練習し続けたことが今に繋がっていると思います」と分析する。宗山選手は2003年、広島県三次市に生まれる。「塁」という名前の由来は、もちろん野球だ。
野球経験のある父の伸吉氏は「読んで字のごとくですよね。僕が野球好きなので。『男の子が出来たら（野球に関連する名前に）』と思っていたので“塁”にしました」と笑う。 そんな名前は、行動をも引き寄せた。「立って歩き出した頃から、おもちゃのバットやボールを触ってましたね。（保育園の）発表会で『将来プロ野球選手になります』って言ってました」。実家の部屋には、初めて使用したグラブから、高校時代に使用していたグラブまでが大切に保管されていた。宗山選手は、その名前の通り、野球を愛する人間に育っていったのだ。
実家の庭こそが、宗山選手の守備力の原点だった。 父親が手作りした練習場があり、そこで毎日のように練習した。 伸吉氏は「僕が最初から『こうしなさい』や『ああしなさい』と言うのではなくて、どうしたいのかをまず聞きました。それが今必要なことか疑問に思ったとしても、塁が考えたことを練習させていましたね」と振り返る。宗山選手の研究熱心なその考えは、父の指導によって培われた。
お手製の練習場では、技術力も向上した。約75センチ四方の1枚のネットがある。宗山選手は「毎日ネットに向かってボールを投げて、ゴロを捕ることをずっとやっていました。平気で1時間とかやることもありましたね。外したらボールを自分で捕りにいかないといけないので、（それを避けることで）コントロールも良くなったと思います」と回想する。
小学校から中学校までの9年間、ひたすら取り組んだ。コツコツと鍛錬を積み重ねた末に、名手が絶賛する守備力が生まれていたのだ。努力と究極の思考力を持つ1人の野球少年は、来年からプロ野球選手として新たなスタートを切る。彼の真面目なルーツからも、未来予想図はきっと明るいものだと頷くことができる。
Get SPORTS「【野球】侍ジャパン 明治大・宗山塁 ~侍ジャパン未来の守備職人~」
放送：2024年
内容： 3月6日、同月7日に行われた侍ジャパン強化試合日本対欧州代表に、4人の才能溢れる大学生が選出された。その中でも侍ジャパン監督・井端弘和が守備を絶賛するのが、明治大学・宗山塁。今年のドラフトでは5球団から1位指名を受け東北楽天ゴールデンイーグルスに所属が決まった宗山が見せた、自身の守備に対する「こだわり」。それは、ある名手と重なりを見せるものだった。さらに宗山の原点を探りに、故郷・広島へ... 未来の守備職人を生み出した秘密が明らかになる。
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