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上田綺世、鋭い腰の回転と踏ん張りから生み出される強烈シュートで代表エースストライカーの座を狙う

躍進を続ける日本代表サッカー。「黄金世代」と評される現在のチームは、多くの選手がヨーロッパの名門クラブで主力として活躍している。しかし、スター選手たちの原点をさかのぼると、多くがJリーグで才能を開花させ、プロとしての第一歩を踏み出していた。DAZNでは、選手たちのJリーグ時代と欧州での現在のプレーを見比べ、彼らの成長過程振り返る「Before / After」を配信中。第7回はフェイエノールト所属する、豪快かつ繊細なゴール製造機の上田綺世(うえだあやせ)選手(26)の「Before」と「After」に迫った。※トップ画像出典/ANP via Getty Images

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体格が未熟だったため鹿島ユース昇格が叶わなかった苦い経験も

上田選手は、1998年8月28日に茨城県水戸市で生まれ。ポジションはFW(センターフォワード、セカンドストライカー)およびMF(ミッドフィールダー)だ。

国内でのサッカーキャリアは、J1鹿島アントラーズの下部組織から始まった。中学時代には鹿島アントラーズノルテに所属し、トップ昇格を目指していた。しかし、当時は身長が170cm程度と体格が未熟だったため、ユースへの昇格は叶わなかったという苦い経験もしている。高校進学後は、鹿島学園高校のサッカー部に所属。そこから法政大学に進学し、秘めていたストライカーとしての才能が開花したという。大学2年生時には全日本大学選抜にも選出され「大学ナンバーワンFW」と呼ばれるほど頭角を現している。大学卒業後はJ1の鹿島アントラーズに加入。2020年シーズンには26試合で10得点を記録。2021年シーズンには29試合で14得点と、日本人FWとしてトップクラスの実績を残した「Before」だ。

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来源/盖蒂图片社

J1での初得点は2019年8月の横浜F・マリノス戦。途中出場した上田選手は、終了間際にゴール前に走り込み味方ヘッドからのパスを、右足ノートラップでゴールに叩き込む決勝弾を決めた。コメントを求められた上田選手は「僕は最後のワンタッチを仕上げただけ」と謙遜。さらに、ゴール前までボールを運んできてくれたチームメイトへの感謝も忘れなかった。2022年シーズンにはエースストライカーとして完全覚醒。強烈な右足ミドルや豪快ヘッドで、18試合で10得点。得点ランキングの1位にも立った。この活躍が評価され、シーズン途中でベルギーリーグのサークル・ブルッヘへの移籍が決まった。

海外での経験を通じて日本代表のレギュラーポジションを狙う

上田選手の「After」は、2022年7月にベルギー1部リーグのサークル・ブルッヘへの完全移籍から始まる。ベルギーリーグは近年、日本の選手たちがステップアップの第一段階として選ぶことが多いリーグで、上田選手もその1人となった。

ベルギーリーグでの経験は、上田選手のプレースタイルの変化に大きく寄与した。Jリーグは、ボール保持能力と緩やかな攻撃展開が重視されるのに対し、ベルギーリーグは素早いボール奪取やゴールへ速攻を重視するスタイル。それでいて守備にも力を抜かない「攻守一体」考え方が特徴だ。またフィジカルの強いアフリカ系選手が多く活躍しているので、対抗できるフィジカル面も重視される。上田選手にも強いフィジカルと同時に、与えられたポジションでの役割遂行が絶対的に求められることになる。

加入当初こそ5試合無得点だった上田選手だが、時間とともにプレー環境に慣れ、より効率的なプレーができるようになる。その後の6試合で5得点を記録するなど、ハイペースでゴールを重ねた。ベルギーリーグでの初ゴールは、同年8月のSVズルテ・ワレヘム戦。左サイドの味方スローインからのゴール前へのワンタッチパスに反応した上田選手がゴール右隅にグラウンダーで叩き込んだ。

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出典/ANP via Getty Images

身長は決して高くはないが、高いジャンプ力も海外経験でさらに磨きがかかった。上田選手のロングボールをヘディングや胸トラップで味方につなげるプレーは、ベルギーリーグでさらに評価された。番組では、ヘディングシュートを決めるシーンも配信。このベルギーでの活躍が評価され「2022年FIFAワールドカップカタール」の日本代表に選出されている。サークル・ブルッヘでの活躍後、上田選手は2023年、オランダのフェイエノールトに移籍。また、海外での経験を通じて、日本代表のレギュラーポジションを狙うなど、さらなる成長を遂げた。

動き出しの速さで日本代表の攻撃の要として機能

上田選手の日本代表としてのキャリアは、2018年のU-23日本代表招集から始まる。2021年にかけ、U-23日本代表として17試合に出場し、6得点を記録。2019年からはA代表にも召集されるようになり、高い決定力で代表のストライカーとしての地位を確立しつつある。またU-24日本代表として2021年に開催された「2020東京オリンピック」にも出場し活躍した。

代表での上田選手の役割は、フィジカルの強さを活かしたプレーだ。動き出しの速さは、代表の攻撃の要として機能している。また、ヘディングの強さやボールキープ力で、攻撃の起点作りにも貢献している。もっとも、鋭い腰の回転と踏ん張りから生み出される強烈なシュートが上田選手の最大の武器。エリア内でボールをトラップすると、高確率で枠内に強烈なシュートを放つ「豪快かつ繊細なゴール製造機」だ。日本サッカー界にとって今後さらなる飛躍が期待される。

『Before / After』#7 上田綺世 ~豪快かつ繊細なゴール製造機~より
配信日:2024年12月9日(月)全10回を一挙配信

※記事内の情報は配信時点の情報です