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熾烈を極めた2024Jリーグ最終節、3チームによる優勝争いの行方は?【プレイバック】
熾烈な争いを繰り広げた2024シーズンのJリーグ。最終節では優勝争いがますます加熱した。今回は元サッカー日本代表の内田篤人と元日本代表の安田理大とともに2024Jリーグ最終節のハイライトを解説。激戦のJ1優勝争いから熾烈な残留争いまで、幅広く網羅した。※トップ画像出典/PhotoAC
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連覇目指し首位ヴィッセル神戸は厳しい戦いに
連覇に挑む首位ヴィッセル神戸は、残留争いを繰り広げる柏レイソルと対戦。先制点は柏だった。
前半5分、手塚康平のコーナーキックから木下康介のヘディングでゴールを決めた。内田は、飛び抜けたジャンプ力を見せた木下の身体能力の高さを評価。加えて「5分で神戸これはもったいなかった」と、早いタイミングでの失点について言及した。リードを許した神戸は前半アディショナルタイムで武藤嘉紀がドリブルで上がり、ゴール前にクロス。大迫勇也が合わせるも、シュートはゴールの左へ逸れた。内田は武藤のスピードに関心しつつ「大迫もいいところで待ってる。でも、彼の能力なら押さえて枠内にいけた。これはいけたね」と繰り返した。
そのまま試合は停滞し、動きがあったのは88分。山口蛍のロングフィードに反応した武藤が、柏のジエゴと競り合い、倒れる場面があった。VRの結果、ジャッジはPKに。キッカーに選ばれた大迫は豪快なフォームでシュートを繰り出すも、ボールはゴールポストを大きく逸れた。万事休すかと思われた続く100分。扇原貴宏のコーナーキックは一度跳ね返されるが、こぼれてきたクリアボールを武藤が押し込み、ゴールネットを揺らした。一度オフサイドの判定が下されるものの、VRの結果ゴールが決定し同点に。試合は引き分けに終わり、神戸は優勝争いへ大きく前進する貴重な勝ち点1を獲得した。
敗れれば優勝争いから離脱の広島、一矢報いるか
3連敗中で悪運ムードが漂うサンフレッチェ広島は、北海道コンサドーレ札幌と対戦。この試合に敗れれば優勝がなくなるという正念場の戦いに挑んだ。
前半8分、トルガイ・アルスランが倒されてフリーキック判定に。すぐさまクイックリスタートすると、東俊希がゴール前の加藤陸次樹へクロスを上げ、そのまま流し込んで先制ゴールを決めた。このプレーに内田・安田はともに「これはうまかった」と驚嘆。東のクロスについて安田は「このボールはディフェンス目線からするとクリアしづらい。触ったらゴールの方に向かっていく。ナイスゴールだった」と頷く。内田は「札幌はディフェンスがポジションへ入るのが遅い」と札幌守備陣の対応力について言及した。その後同点となり、迎えた前半アディショナルタイム。東のフリーキックが直接ゴールに入り、勝ち越しを決めた。大きく離れた距離から直接のゴールに安田は「この距離であの場所にボールを上げるのは難しい」と驚くと、内田は「このゴールが大きかった」と試合を分けるターニングポイントだったと話した。
その後も追加点を重ねた広島は最終的に5得点を挙げる快勝を決めた。試合の総括について内田は「これは広島もまだまだある」と首位争いの激化を匂わせていた。
負けられない3位町田、逆転優勝へ望みはつなぐか
3位FC町田ゼルビアは京都サンガF.C.と対戦。逆転優勝に向けて勝利が絶対条件と、こちらも厳しい戦いを迎えた。57分、得意のロングスローからこぼれ球に望月ヘンリー海輝が反応。強烈なシュートは両サイドのゴールポストにはじかれてゴールならず。先制はならずとも、攻撃的な姿勢を見せた。続く66分、相馬勇紀が素早いドリブルでゴール前に切り込むと、クロスボールが相手キーパーの手にあたり、オウンゴールで先制した。内田、安田ともに「キーパーの処理はここは難しい」としつつ「相馬のドリブルがうまかった。移籍してちゃんとチームに貢献してるからすごいね」と称える。この1点が勝敗を決め、町田は最終節へ望みをつなげた。
10年ぶりの3チームによる優勝争いの行方は?
結果、この時点で1位神戸(勝ち点69、得失点22)、2位広島(勝ち点68、得失点31)、3位町田(勝ち点66、得失点22)による優勝争いが続くことが決まった。
J1の最終節で3チームによる優勝争いが行われるのは、10年ぶりとめずらしい展開に。内田は「得失点も含めて町田は全然チャンスがあると思う。神戸と広島が負けて町田が勝つようなことがあれば…。得失点も変わる」と逆転優勝の可能性について言及。また最終節を迎える前に神戸と広島はACLE、ACL2の戦いが控えている。加えて首位神戸は最終節の対戦相手が湘南ベルマーレ。「そこ(ACLE)でけが人が出るようなことがあれば…。しかも、最終節の湘南は一番やりづらいと思う」と話す安田。「そう。湘南はしゃかりき頑張るからね」と内田も厳しい戦いを予想した。
番組では最終節のキーポイントとして、セットプレーを挙げた。神戸はセットプレーの得点数が22でリーグ最多。内田は「キッカーが大事なのはもちろん、大迫、武藤と言った身体が大きい選手がいることが大きいですね。ディフェンスと競り合うから」と解説。相手の守り方によってさまざまなセットプレーの攻撃パターンを持つ神戸。いずれにしても、難しいプレーをしているのではなく、シンプルな攻撃体系を組んでいるという。安田は「キックの質と、合わせる選手の技術と強さ。それさえあえれば点が取れる」と話した。
DAZN『内田篤人のFOOTBALL TIME #211:どうなる?Jリーグ最終節』より
※記事内の情報は放送当時の内容を元に編集して配信しています