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伊藤美誠がW杯銅メダル奪取で復調 次世代エース・張本美和が世界2位に肉薄 中国の壁突破へ挑む日本女子卓球の今

卓球の国際大会「ITTF男女ワールドカップ2025」が4月14日から20日にかけてマカオで行われた。日本から男女の有力選手が出場したなか、注目を集めたのが女子シングルスの戦いで世界ランキングでは10位以内に名を連ねる4選手が出場。5月にはカタールで「世界卓球 個人戦」も控えるなか、各選手の現在地を図る場所となった。※トップ画像/(C)ITTF

图标 30716468 1048529728619366 8600243217885036544 n伊藤雅孝 | 2025/04/24

女子4選手が順当に予選通過

日本女子は大会前時点で世界ランキング5位の張本美和、同6位の早田ひな、同8位の大藤沙月、同9位の伊藤美誠がエントリーした。黄金世代として卓球界をけん引し、ともに五輪シングルスのメダリストでもある早田、伊藤のふたりに加えて、2024年にパリ五輪の団体戦に出場した16歳の張本、国際大会で優勝を重ねて飛躍した20歳の大藤という充実の陣容がそれぞれの戦いに挑んだ。

グループリーグは首位で次のステージに進めるなか、日本勢が見せたのは前評判通りの強さ。張本は初戦のマリアム・アロダビ(エジプト)、2戦目の杜凱琹(香港)にストレート勝ちで危なげなく予選を通過。また、相手の不戦勝により王手をかけた早田は自身の初陣となったオラワン・パラナン(タイ)をストレートで下して決勝トーナメントを決めると、大藤、伊藤もそれぞれのグループで首位の座をキープした。日本女子が誇る世界トップ10の4選手が力の差を見せつけて、次の戦いに向かった。

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(C)ITTF

日本人キラーと繰り広げた激闘

今回の日本女子選手のなかでもメダルの有力候補だったのが張本で、昨年のW杯ではベスト4に進出し銅メダルを獲得。その後世界トップ10入りを果たし、パリ五輪にも出場した16歳は一度もトップ10から落ちることなく日本女子最高位に立った。2028年のロサンゼルス五輪では日本の新たなエースとして期待がかかる張本にとって、今回のW杯での2大会連続メダル獲得は1カ月後の世界卓球に向けても弾みとなり得た。

そんな張本に立ちはだかったのが王曼昱で、世界ランキング2位の26歳は孫穎莎とともに女子卓球をけん引する中国勢。決勝トーナメント初戦でいきなり強敵と対することになった。そんななか、張本が序盤から見せたのが攻撃性を前面に出した戦いで、第1ゲームからフォアハンドで強打する場面が目立つなど、176センチと女子選手随一のリーチを誇る王曼昱の守備網を搔い潜ってみせる。11-8、11-5で2ゲームを奪取すると、1ゲームを奪われて迎えた第4ゲームのデュースを14-12で取り切り、世界2位撃破へ王手をかけた。

しかし、ここから王曼昱が2019年以来敗れていない“日本人キラー”としての一面を見せつける。序盤押されていた張本とのラリー戦で徐々に押し返すシーンが増え、サービスや台上でのレシーブでも効果的なポイントを重ねる。ゲームカウントを3-3に戻して迎えた最終ゲームでは、デュースからの2ポイントをものにして、喜びを爆発させた。張本は敗れたものの、世界2位相手にラリーでは互角に渡り合い、紙一重のところまで追い込んだ。2大会連続メダルへの道は閉ざされたが、1カ月後の世界卓球に向けて可能性を感じさせる1試合となった。

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(C)ITTF

注目の同士討ち制した伊藤

そして、今大会充実のパフォーマンスを見せたのが伊藤。今年は国際大会でも上位進出が目立つなど、24歳が復調の兆しを見せてW杯へ乗り込んだ。安定した戦いで予選突破すると、準々決勝では大藤との日本人対決が実現。昨年の国際大会で連敗を喫するなど、大藤の勢いに押される展開が続いていたが、今回は序盤から台から下がらずに対応。伊藤の十八番であるフォアハンドを振り抜くシーンが随所に見られ、20歳の新星を退けてメダルを確定させた。

準決勝では中国期待のサウスポー、蒯曼と対峙。21歳の次世代エースに対しても、伊藤が開始の2ゲームを奪取するなど、強気な姿勢を崩さずに前に出るシーンが目立つ。しかし、相手の巧みな修正の前に徐々にラリー勝負で後手に回る場面が増え、最終ゲームでは7-7からの連続失点で力尽きた。それでも、ここ数年五輪選考会や国際大会で苦しむこともあった24歳にとっては復活を印象付ける銅メダルとなった。

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(C)ITTF

近年は中国トップ勢に肉薄するなど、熾烈な争いを繰り広げている日本女子。2025年のビッグイベントである世界卓球を1カ月後に控えたなかで、各選手が奮闘を見せた。今回充実のパフォーマンスを見せた伊藤、張本、早田、大藤に加えて、カタールにはパリ五輪銀メダリストの平野美宇も参戦する。質、量ともに充実の陣容を誇るシングルスのメンバーがメダル争いへ絡めるのかは期待が高まる。