
開幕好スタートを切ったファイターズーー新庄チルドレンたちは優勝を狙えるのか?
新庄剛志が監督に就任して今季で4年目となる北海道日本ハムファイターズ。就任直後の2年間は最下位に沈んだが、若手や新戦力として加入した選手を積極的に起用し続けて、昨季はチームを球団6年ぶりとなるAクラスの2位に導いた。今季は選手層がさらに厚みも増してきて優勝への気運も高まっている。4月25日現在、オリックス・バファローズに次ぐ2位を保っているが、ファイターズは念願の優勝をできるのか?戦力面や新庄采配を考慮しつつ、予想していく。※トップ画像出典/Pixabay(トップ画像はイメージです)

開幕カードは投打がかみ合って3連勝!その後は連敗・連勝と不安定ながらも2位をキープ
開幕カードで埼玉西武ライオンズに3連勝し、絶好の開幕ダッシュに成功した北海道日本ハムファイターズ。チームとしては1962年以来63年ぶりの開幕カード3連勝を飾った。
開幕戦では、絶大な信頼を持つサウスポー・加藤貴之や14勝をマークした伊藤大海ではなく、昨季7勝だった期待の右腕・金村尚真を先発に起用。金村は開幕マウンドのプレッシャーを物ともせず、その期待に応えて多彩な変化球を駆使して気合いの完封勝利を収めた。また、3戦目には昨年のファン感謝イベントで開幕4番を明言された野村佑希が大爆発。2打席連続ホームランを含む6打点を叩き出し、勝利に大きく貢献。大胆な新庄采配がピタリと的中した。
そのまま開幕カード3連勝で波に乗りたかったファイターズだが、直後のオリックス・バファローズ戦で3連敗を喫したかと思いきや、今度は東北楽天ゴールデンイーグルスに3連勝するなど、調子は不安定。それでも現在は2位をキープしている状況だ。チーム打率こそ.230と振るっていないがホームラン数は22本で単独トップ。また、チーム防御率も2.92とリーグ4位でまずまずの数字ではあるが、勝ち試合のほとんどの先発投手がゲームを作ることができていることは大きいだろう。
長打を打てる打者と俊足がそろう理想の打線だが、中継ぎにはやや不安
それでは、今季のファイターズの戦力面はどうなのか?
野手陣はリーグきっての多彩な顔ぶれがそろっている。4番に指名されてその期待に応えている右の強打者・野村をはじめ、天性のスラッガー・清宮幸太郎、鋭いスイングが自慢の万波中世、郡司裕也などの日本人大砲、さらにはレイエス、マルティネスらの助っ人外国人らの長打力は脅威だ。また松本剛や五十幡亮汰、上川畑大悟、矢澤宏太、水野達稀らの走力も大きな武器で、課題だった捕手も田宮裕涼が成長。伏見寅威や郡司も控えている。
一方の投手陣も、大きな補強こそなかったものの年々力を付けてきた選手が増えており、優勝を狙えるラインナップになっている。先発では金村、加藤、伊藤、バーヘイゲン、山﨑福也に加えて、伸び盛りの速球派・北山亘基や台湾リーグMVPだった古林睿煬らがおり左右のバランスが良い。中継ぎ・抑えも宮西尚生、杉浦稔大、山本拓実、田中正義といった昨季に結果を残した投手がそろっている。しかし、宮西以外は複数年で活躍した選手が少なく、やや不安が残る。
ファイターズのここまでの戦いぶりを振り返る
このように先発陣が試合を作り、強力打線で打ち勝つ野球ができれば優勝の可能性は十分ありえそうだが、ここまでの戦いぶりはどうなのか?
打線はマルティネスをケガで欠いているほか、万波や清宮の数字が上がってきていないが、ここまでバント0の徹底した攻撃的野球を貫き、長打で試合を制している。特に野村や福岡ソフトバンクホークスから加入した吉田賢吾のパワーは目を見張るものがある。彼らがシーズンを通してさらに成長してくれれば、大型連勝もあるだろう。さらに復帰したばかりの水谷瞬、奈良間大己や山縣秀といったスピードのある選手が塁に出れば、おのずと得点力も上がっていくはずだ。
意外性のある新庄采配が最大のカギ!
不安なのはやはり中継ぎ陣だ。杉浦が勝負どころで立て続けにホームランを打たれて登録抹消。期待されていた山本拓実や松岡洸希も2軍に降格し、絶対的な中継ぎ陣を形成できていない。金村や伊藤のように完投を期待できる先発投手ばかりではないので、この改善は急務だろう。それでもプロ7年目の生田目翼や柳川大晟らが好投を続けており、投手不足に泣かされることはなさそうだ。
ここまで投打の成績を振り返ってきたが、優勝を狙うためにカギを握るのは、誰もが予想しないような新庄監督の采配になるだろう。2軍で好成績の選手をいきなり抜擢したり、先発と中継ぎの大きな配置転換をしたり、相手チームを驚かせ、自チームの士気を上げることができれば、念願の優勝も見えてくるはずだ。