東京五輪の前哨戦『JA全農 ITTF 卓球ワールドカップ団体戦』いよいよ開幕!張本智和&伊藤美誠「すごく状態いい」優勝に向けて視界良好
東京五輪のテストイベントを兼ねた「JA全農 ITTF 卓球ワールドカップ団体戦 2019 TOKYO」が東京体育館で、11月6日から5日間にわたって開催される。それに先駆け、5日には同会場にて大会前日ドロー&記者会見を実施。出場する男女それぞれ12チームが、3チーム×4グループにわかれて総当たりで戦う予選リーグの組み合わせが決定した。記者会見には日本代表から張本智和と伊藤美誠、中国代表からは馬龍と劉詩ブンが出席。それぞれ今大会に向けての意気込み、対戦チームの印象などを語った。
佐藤校长
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2019/11/05
本大会は、その名の通り卓球の団体戦のみで戦うワールドカップだ。日本や中国など世界トップクラスの男女それぞれ12カ国12チームが参加し、世界の頂点を競い合う。
2018年に行われた前回のロンドン大会では、日本は男女ともに決勝で中国に敗れ、準優勝という結果に終わった。だが今回は全試合がホームでの戦い。前回、苦渋を味わい、リベンジを期す日本にとっては、まさにその借りを返す絶好のチャンスと言えるだろう。
日本からは、男子は張本智和(世界ランキング5位)、丹羽孝希(同11位)、水谷隼(同13位)、吉村真晴(同48位)、神巧也(同52位)の5名。女子からは伊藤美誠(同7位)、石川佳純(同8位)、平野美宇(同10位)、佐藤瞳(同19位)の4名が出場する。
※世界ランキングは2019年11月時点
そしてこの日、予選ドロー(抽選会)と記者会見が行われた。ドローでは各国の代表選手が、箱からアルファベットが記載されたボールを引いていき、組み合わせを決めていった。男女それぞれ3チーム×4グループにわかれ、各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出する。
男女の予選リーグ組み合わせは以下の通り。
<男子>
Aグループ:中国、台湾、ナイジェリア
Bグループ:日本、オーストリア、イングランド
Cグループ:ドイツ、ブラジル、オーストラリア
Dグループ:韓国、スウェーデン、アメリカ
<女子>
Aグループ:中国、ウクライナ、エジプト
Bグループ:日本、アメリカ、オーストリア
Cグループ:台湾、ルーマニア、バヌアツ
Dグループ:香港、韓国、ブラジル
続く記者会見で、男子の世界ランキング5位の張本は、この組み合わせについて「イングランドは因縁のある相手。昨年の世界選手権で同国に敗れ、メダルの可能性が低くなった。自分も何度か試合で負けている選手がいるので、リベンジをしたい。だからこそ予選リーグではイングランドとの試合が一番大事になってくる」と明日の初戦から気合十分。
本人が話す通り、昨年の世界選手権では予選リーグ第3戦で日本はイングランドと対決し、1-3で敗戦。張本はTリーグのT.T彩たまに所属する世界ランク19位のリアム・ピッチフォードにストレート負けを喫している。2018年のITTFチームワールドカップでも0-3で完敗しており、ピッチフォードは“張本キラー”との呼び声が高い。
イングランドとの対戦で同選手との“因縁マッチ”が実現すれば、初日から注目度の高い試合となりそうだ。
日本女子トップで世界ランク7位の伊藤は「オーストリアの選手とは、最近すごく試合をする機会が多いので、今回も対戦回数が多い選手とぶつかるんじゃないかと、個人的には思っています。強い相手に勝って、どんどん成績を上げている選手もいるので、すごく楽しみ」と対戦相手の印象を述べた。
その世界ランクを急上昇させているオーストリアの選手というのは、世界ランク17位のソフィア・ポルカノバだ。同選手は180センチという女子選手の中でトップクラスの高身長を武器としている。
とはいえ、伊藤はポルカノバとの相性は良く、国際大会では混合ダブルスを含めて7勝1敗と大きく勝ち越している。シングルスでは、昨年の世界選手権でストレード勝ち、今年のITTFワールドツアー・香港オープンでも4-1と勝利を収めている。世界ランクをぐんぐん伸ばしている成長株ではあるが、伊藤が力の差を見せつけ、初日からスタートダッシュを決めたいところだ。
一方、2016年リオデジャネイロ五輪男子シングルスで金メダルを獲得し、世界ランク4位につける中国代表・馬龍は、東京五輪の試合会場でもある東京体育館での開催について「ここは私にとって非常に思い出深い会場。試合数こそ多くないが、東京体育館での大会では優勝を経験したこともある。その出来事が、中国チームにラッキーを与えてくれるよう祈っている」と好相性であることをアピール。「全力を出し切れるように頑張りたい」と意気込んだ。
また、今年の世界選手権女子シングルスで優勝した世界ランク2位の劉詩ブンは「私は東京体育館での試合は初めて。先程少し見てきたが、会場はけっこう大きい印象。できるだけ早く環境に適応し、この会場の条件をいろいろ確認しながら東京五輪にも備えたい」と来年を見据えつつ、「私たちは準備万端。試合に向けて万全の対策を練って臨みたい」と自信を示した。
最後に今大会に向けて、伊藤は「会場の雰囲気や照明、卓球台の弾み具合なども確認しながらやっていきたい」と冷静に戦略を話すと、「たくさん日本チームで練習してきました。私自身すごくいい状態なので、明日からの試合がすごく楽しみ。ただ、もちろん団体戦ではあるんですけど、やはり一人ひとりの“個の力”が大事になってくる。出る試合は勝つという意識を持ちながら、試合を楽しんでいきたい」と意気込みを口にした。
張本は「今大会に向けて男子チームもしっかり準備してきて、調子はいいと思う。明日の初戦から優勝目指して全力で頑張りたい」と力強く語った。
来年に向けて、本番の会場が同じである今大会はまさに東京五輪の前哨戦にあたる。選手が会場の雰囲気や設備を気にしていることからわかる通り、東京体育館で戦える明日からの試合は、どのチームからも1年後を見据えて重要視されることは間違いない。いち早く環境にマッチし、優勝に繋げることができれば、東京五輪でのメダル獲得に向けた好材料となるはずだ。注目の試合はいよいよ明日、開幕する。
取材・文・写真/佐藤主祥
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