K-1大久保琉唯、接戦を制し進化を誓う―璃明武との激闘が示した未来への可能性
2024年12月14日、国立代々木競技場第一体育館で開催された『K-1 WORLD GP 2024 in TOKYO~FINAL~』。注目のスーパー・バンタム級では、大久保琉唯と璃明武が対戦した。今年9月に玖村将史を破る大金星を挙げた大久保と、僅差で王者・金子晃大に敗れながらも実力を示した璃明武。互いに成長を見せたこの試合は、大久保が判定3-0で勝利を手にした。試合後、大久保は勝利の喜びを語る一方で、KOを逃した悔しさを口にし、さらなる進化を誓った。この勝利は、彼の未来に向けた大きな一歩となった。 ※トップ画像撮影/松川李香(ヒゲ企画)
試合展開―心理戦から攻防の駆け引きへ
撮影/松川李香(ヒゲ企画)
第1ラウンド(1R)
試合開始から、大久保はローキックとジャブでペースを掴もうと試みる。一方、璃明武もローキックを的確に返し、互いに慎重な立ち上がりを見せた。中盤にはクリンチが目立つ場面もあったが、試合全体を通じて間合いの駆け引きが続く。ラウンド終盤、大久保の右ストレートがクリーンヒット。この一撃で流れを引き寄せ、やや優位に試合を進めた。
第2ラウンド(2R)
このラウンドでは両者が攻防のテンポを一段階上げる。ガードを固めながらフックを連打し合い、一進一退の展開となった。しかし1分を過ぎると、再び中距離での心理戦が展開される。大久保はスイッチやL字ガードを駆使し、璃明武を翻弄。ストレートの隙を突き、コンパクトな左ストレートを的確に打ち込むなど、細かな攻防で優位性を示した。
第3ラウンド(3R)
大久保はミドルキックと右ストレートで試合を加速。璃明武もフックで応戦するが、大久保のムエタイを彷彿とさせる崩し技術に阻まれ、ペースを掴み切れない。試合終盤、ロープ際での攻防では、大久保がパンチを連打して攻勢を見せたものの、璃明武も体を巧みに入れ替えて抵抗した。しかし、最後まで先手を取り続けた大久保が試合を掌握。3人のジャッジ全員が29-30で大久保を支持する形となり、判定3-0で勝利を手にした。
試合後の大久保―勝利の中に悔しさ
試合後、マイクを握った大久保は、勝利の喜びをファンに伝えるかと思いきや、その口から出たのは「試合前はKOを狙うと言っていましたが、この結果。すごく悔しいです」という謝罪の言葉だった。勝利を手にしたにもかかわらず、目標を達成できなかった自分への厳しい姿勢が垣間見える。
「自分の理想とする戦い方ではなかった」としながらも、璃明武の強さと技術を称えた大久保。次なる戦いへの覚悟を滲ませた彼の言葉には、さらなる成長への意欲が込められていた。
大久保の未来―新たな頂を目指して
撮影/松川李香(ヒゲ企画)
今回の試合で大久保は、自らの課題と可能性を明確にした。9月の玖村戦に続き、璃明武との一戦でも冷静な試合運びとテクニックを披露。K-1スーパー・バンタム級戦線において、その存在感をより一層強く印象付けた。
KO勝利を目指したにもかかわらず達成できなかった悔しさを糧に、大久保琉唯は確実に進化を遂げるだろう。来年の舞台で、さらに進化した彼の姿を目にする日が待ち遠しい。
「大久保琉唯、試合後に語る―璃明武戦の振り返りと未来への決意」
撮影/松川李香(ヒゲ企画)
--まず初めに本日の試合を振り返っていかがだったでしょうか。
そうですね。今日の試合を振り返ると、試合前は盛り上げて、結果的にKOで倒そうと意気込んでいました。ただ、試合中にクリンチされたりして、心が乱れるというか、フラストレーションが溜まってしまいました。そのせいで、練習でやってきたことをほとんど出せませんでした。璃明武選手は本当に強くて良い選手でしたが、次に向けて頑張ります。
--対戦相手の璃明武選手の印象を戦ってみていかがでしたか。
やはり、55kgの階級で独特の間合いを持つ選手だと感じました。最初は「狙われてるな」と感じましたが、途中から「これなら問題ない」と思えるようになりました。自分の実力をほとんど出せなくても勝てたので、さらに成長できると感じています。ただ、璃明武選手は性格も良いですが、グローブタッチくらいしてくれてもよかったかな、と思いました。
--判定で勝ちましたけれども、その勝ち切れたポイントはどこだったと思いますか。
今回は自分の実力を見せきれなかった部分もありましたが、「負けてはいけない」という強い思いが支えになりました。特に金子選手と戦うまでは負けられないという気持ちがありました。試合中はイライラしてしまう場面もありましたが、「絶対に譲らない」「攻撃を受けたら必ず返す」という気持ちで戦えたのがポイントだったと思います。
撮影/松川李香(ヒゲ企画)
--試合前に「カメレオン」という言葉が話題になりましたが、スイッチを切り替えながら戦った点についてはいかがですか。
スイッチをしながら戦いましたが、途中で右ストレートが効いた場面があり、そこから詰めようとしました。でも、その場面で組まれてしまったんです。そこに対応しきれず、まだ半分カメレオンかなという感じでした。
--平本蓮選手からのアドバイスを取り入れた部分については?
2~3個は試しました。ただ、組まれた時に顔面を狙おうとしましたが、璃明武選手は顔面の対策が徹底されていて、そこを崩せませんでした。やはり、璃明武選手は本当に良い選手だと感じました。
--膝の当て方についてはいかがでしたか。
試合前から璃明武選手の距離感が独特だとわかっていましたが、実際に戦ってみて、やはり難しいと感じました。その距離感が、彼が他の選手に勝ってきた要因だと思います。それを潰そうとしましたが、今回は組まれてしまい、うまくいきませんでした。
--大晦日の話もありましたが、この試合に勝てば年末のイベントに繋がると考えていましたか?
撮影/松川李香(ヒゲ企画)
勝ったら大晦日への道があるかもと思っていました。今回は少し締まりのない試合になってしまったので、これでは年末を良い形で締めくくれません。もし次があるなら、それがビッグチャンスになると思います。今年をしっかり締めくくる試合をしたいですね。
--試合後、次の試合まで日数が少ないですが、コンディションは大丈夫ですか?
もう走れる状態なので、明日から練習を始めます。ただ次は怪我をしないように気をつけます。
--大久保選手は「ブラックローズ寄り」と見られていますが、その点についてはどうですか?
そうですね、でも僕は僕自身でいたいと思っています。他の選手たちと比べると、どこか孤立している部分もあるかもしれません。ただ、平本選手や篠塚選手は本当に面白いキャラクターで、そういう部分はリスペクトしています。
撮影/松川李香(ヒゲ企画)
--今日の試合を見て、次の挑戦についてどう思いますか?
今日は苦戦しましたが、相手がタフだったからだと思います。ただ、大晦日に向けてもう一度しっかり準備していきたいです。ストーリー性がある試合が、ファンにとっても楽しめるものになると思うので、それを意識して挑戦したいですね。
--RIZIN参戦やブレイキングダウンでの試合があれば「本物の格闘技」を見せるチャンスだと思いますが?
もしそういう場があれば、偽物を倒して本物を見せたいですね。ただ、ブレイキングダウンの選手を否定しているわけではありません。もっと強い選手と戦いたい気持ちはあります。
--最後にファンの皆さんに一言お願いします。
応援ありがとうございました。もっと「カメレオン」のように進化していきますので、これからもよろしくお願いします。