比江島慎の背中を追いかけて、次世代の扉を開ける逸材!山口颯斗の挑戦とは
DAZNで配信されているバスケットボール男子日本代表の次世代スター候補に注目した『NEXT HEROES』が、今後の日本代表をけん引してする次世代の選手5人に焦点を当て、独自のプレースタイルや選手としての魅力を全5回にわたって深掘りしていく。#3は、多彩なオフェンス能力が持ち味でNEXT比江島慎と期待されている、山口颯斗をピックアップする。※トップ画像出典/Getty Images
次世代の日本バスケット界に必要な〜NEXT比江島慎~
比江島慎は、バスケットボール男子日本代表チームを支え続ける選手の一人で、何度もチームの苦しい状況を救ってきたエースだ。その比江島選手が、昨年11月のアジアカップ予選で「次の世代に活躍してほしい」と代表引退を示唆した。その大会で初めて代表デビューを飾ったのが“NEXT比江島慎”と期待されている山口選手だ。バスケットボールコメンテーターの井口基史さんは「比江島選手が日本代表を終えたとき、誰がその役割を担うのか。次の世代のバスケットボール界の大きな課題のひとつ」だと語る。
比江島選手が得意とするのは、ドリブルからの1対1で“比江島ステップ”と呼ばれる独特のステップからレイアップをねじ込む、クラッチタイムでスリーポイントを決める、最低でもフリースローを獲得するなど「チームが苦しい時間帯を個の力で打開すること」だ。ドリブルから多彩な攻撃をしかけるオフェンス力が持ち味の山口選手のプレースタイルは、比江島選手を彷彿とさせるものがある。井口さんは「いつ代表に呼ばれてもおかしくない選手だと思っていた」と山口選手のことを評価している。
最重要課題は持ち味を発揮すること
山口選手は“NEXT比江島慎”という評価について問われると「恐れ多いです」と謙遜しながらも「試合に出て自分のパフォーマンスを発揮できなければ、比江島選手には近づけない。大事な場面でボールを託してもらえるような選手になりたい」と答えている。「でも、自分にボールをくれとはまだ言えないですね…」と苦笑した。
比江島選手は山口選手のことを「リズム感や間の取り方は自分に似たところがあると思う。持っている能力、スキルも高いので楽しみな選手です。まだ探り探りな部分があるので、もっとアグレッシブにやっても良い」と話している。
トム・ホーバスHCによると山口選手の課題は「技術はあるし、練習ではシュート確率も高い。試合になるとシュート数が減ってしまう」ことだと言う。佐々宜央アシスタントコーチも「サイズがあり、柔軟にいろんなプレーができる。スコア感覚も高い。あとはどう表現するか」と語る。山口選手と同世代の井上宗一郎選手は「まだまだ力を隠している」と言うように、自分の持ち味をどう表現していくのかということが、今後代表に定着するためには最も重要になりそうだ。
代表チームでの経験からしか得られないものがある
代表チームでは、短い期間で結果を求められる。井口さんは「特に山口選手はスコアラーとしての活躍を期待されているので、チームが1番苦しいときに、攻撃力を発揮してクラッチタイムでスリーポイントを決める、最低でもフリースローをもらうなどができるようになれば、一気に代表定着の道が開ける」と話す。山口選手自身は、代表チームでは自分のタイミングではないときのシュートを求められることに、まだアジャストできていないと感じている。ホーバスHCがとにかく経験が大切と言うように、長年チームを支えてきた富樫勇樹選手も「経験が全て。代表チームでしか学べないこともたくさんある。システムはもちろん大切だが、若い選手には自分の持ち味を出して思いっきりプレーしてほしい」と語った。
自分らしいプレーで次世代エースを目指す
山口選手は、11月21日のモンゴル戦で14分29秒のプレータイムを獲得し、代表初得点もマークした。試合後のインタビューでは「練習で良いパフォーマンスができる日も増えてきたので、代表メンバーに残れて試合に出ることができたと思う。自分らしいプレーができるように、徐々にステップアップしていきたい」と話す。比江島選手は、代表チームの若い世代の選手たちのことを「彼らは次のワールドカップ、オリンピックを支えていく選手たちだ」と言い「自分たちも最初から良いプレーができていたわけではない。ホーバスHCのバスケットは経験が必要で、難しい部分もたくさんある。うまくいかなくても落ち込まず、力を発揮できるようになれば必ずチームのプラスになるので頑張ってほしい」とエールを送った。
長年チームを支え続けるエースからの言葉を胸に、山口選手が日本代表のエースとして、世界を相手に躍動する日も近いのかもしれない。
『NEXT HEROES』
タイトル: #3 山口颯斗〜NEXT比江島慎〜
配信日:2024年12月9日(月)全5回を順次配信
内容:日本で開催されたFIBAワールドカップとパリ五輪を経て、日本代表は新たな挑戦、2027年カタールワールドカップへの旅路をスタート。渡邊雄太、富樫勇樹、比江島慎らが両大会で築き上げた道を引き継ぐ、注目の新世代ヒーローたちを紹介する
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